●へろへろに
くたびれているくせに、今週末も、小鳥さんが飛んできました(笑)。
理由は、コレです。

たまたまチケットが取れたのが昨日、つまり千秋楽だったのですが(ちなみに午後の部です)、そのせいか、役者さんたちがノリに乗っていて、実に楽しいお芝居でした。歌舞伎の醍醐味を、堪能したように思います。
スーパー染五郎(はーと)が超絶、目眩がするほど美しかった! ・・・とか。
福助の演じる八百屋お七が、恋にバカで色っぽくて、素晴らしかった! ・・・とか。
錦之助が50歳だなんて、とっても信じられない! ・・・とか。
さんざん盛り上がったわけですが、でもやっぱり、燦然と輝く主役はなんといっても、吉右衛門さんと幸四郎さんでしたねえ。
(あ、なぜかこのお二人は、「さん」づけで呼んでますね、わたし。ところで、実は幸四郎さんのほうがお兄さんで、鬼平さんこと吉右衛門さんは、弟です。)
この兄弟が最近まで、何十年も何らかの確執を抱え、共演はおろか、同じ月に同じ劇場で仕事をすることすらなかった・・・というのは、有名なお話。わたし自身、以前にもお話したかもしれません。とにかく、周囲を巻き込んだ派手な兄弟不和だったわけですが、このところようやく、緊張緩和が訪れたようですね。
特にここ1年は、仲直り?の共演も増えてきて、ホントに嬉しい限り。
ましてやそれが歌舞伎十八番のひとつ、「勧進帳」(かんじんちょう)とあっては、そりゃあぜひとも見たい、って思うのが人情でしょう(笑)。
●勧進帳
簡単に言っちゃうと、弁慶と義経モノですね。
古典歌舞伎の名作で、数多い歌舞伎のお芝居の中でも、たぶんもっとも有名で、もっともポピュラーな演目のひとつです(笑)。
兄・源頼朝と、仲違いをしてしまった弟の義経。わずかなお伴を連れて、山伏の姿に変装し、義経は陸奥(みちのく)に逃れようとします。その義経を捕えようと、頼朝は全国あちこちに関所を設け、人の通行を厳しく見張らせます。
さて、場所は安宅の関(あたかのせき、今の石川県にあります)。
関守の富樫(とがし)は、すでに「義経一行は山伏に変装している」という情報を得ていたので、簡単には関所を通してくれません。一行が本物の山伏かどうか確認するために(というか、ボロを出すのを期待して)、さまざまな尋問をします。
受けて立つのが、武蔵坊弁慶。
山伏のリーダー格に扮している彼は、義経の忠実な家来。ご主人さまを護るため、弁慶は知力体力のすべてを賭けます。冷静な判断力ととっさの機転で、富樫との丁々発止の問答を切り抜け、やっとのことで通行許可をもらうのですが、そのとき・・・!?
というのが、あらすじ。
詳しくは、こちらで>>
■豪胆で忠義心にあふれ、実に魅力的な主役=弁慶に、幸四郎さん。沈着かつ、弁慶の心意気に感じて武士の情けを見せる富樫に、吉右衛門さん。そして、弁慶たちのはたらきに謝意を述べる若きプリンス、悲劇の義経に、幸四郎さんの息子、染五郎。
豪華な、心憎い配役にふさわしい、素晴らしい舞台でした。
(ちなみに、義経は重要な役ではあるけど、あくまで脇役です。「勧進帳」の主役は弁慶。そして、弁慶と相対する富樫の存在感が、お芝居のキモになります。富樫に風格がないと緊張感が生まれず、つまらないお芝居になってしまうし、かといって弁慶を食ってしまうような富樫では、お芝居として失敗だと思います。)
様式美あふれる古典劇で、次になにが起こるか、最後はどうなるかとっくに知っているはずなのに、それでも手に汗を握ってしまう。目が離せない。
そんな迫真のお芝居を、幸四郎さんと吉右衛門さんがたっぷり見せてくれました。その緊迫感といい、息の合い方といい、申し分がなくって・・・いやあ、すごかった。さすがに血は争えない、というべきか、それとも、(何十年もずっと共演がなかったことを)もったいなかったと悔やむべきか、わからない感じですね。
●それ以外のお芝居も
とてもよかったのですが、エンドレスになるので割愛します(笑)。
午後の部の全演目に出ずっぱりの吉右衛門さん、ホントにのっているという感じでした。はしゃいでる、といってもいいくらいの大活躍だったので、ファンは嬉しいだろうな~。
八百屋お七を演じた福助は、相変わらず綺麗で、可愛くって・・・あれでもう、50歳近いらしいですが、とてもそうは見えません(笑)。役柄としては、ただカワイイ、恋に暴走するティーンエイジャーですが、かなりの技術が要求される役だなあ、と思いました。
で、天下の染五郎・・・!
美形でカッコいい、というのは今さら言うまでもありませんが、昨日はねえ、あんまり麗しくて、倒れそうになりました(笑)。
今のうちに光源氏、やって欲しい。
いや、いっそ女形に挑戦してくれていいかも?
・・・なんて、愚にもつかないことを妄想しちゃいました・・・(苦笑)。同じハンサムでも、お父さんには反応したこと、ないんだけどなあ。
http://ameblo.jp/someiro/ (染五郎のオフィシャル・ブログを発見!)
「で、えびちゃんはどうすんの~?」
えびちゃんってもちろん、天下の成田屋、市川海老蔵(いずれは団十郎)のことです。小鳥さんにニヤニヤ聞かれて、ちょっと悩んでいるわたしでした(笑)。