●日比谷には・・・
ゴジラがいました(笑)。

なんか、びっくりしました。
かつてはけっこうな映画ファンだったもので、有楽町から日比谷エリア(の映画館)には足しげく通っていました。宝塚劇場や日生劇場にも、学生の頃は何度も行ったものです。
(ヅカファンだったことは一度もないのですが、源氏物語や、木原敏江さん原作のお芝居がかかったりすると、いそいそとチケットを買ってました。)
そのせいか、多少なりとも土地勘があると思っていたんですが・・・いやあ、それって、20年くらい前の話なんですよね(爆)。
今のわたしは、完全に異邦人(笑)。
幸いにも街並みはあんまり変わっていないので、道に迷うことはありませんでしたが、立ち並ぶショップも、そこを歩いている人の群れも、だいぶ雰囲気が変わったなあ、と思いました。
あたりまえ、ですね~(笑)。
●さて、
目指すは、日生劇場。
正直、建物や設備はかなり古い・・・のは、まあ、しょうがないか(笑)。
お目当てはもちろん、かの市川染五郎&片岡愛之助主演の復活狂言、衆道の純愛と忠義の物語、「染模様恩愛御書」です。

これは、特大ポスターに見入る小鳥さんです(笑)。
えっと・・・感想、思ったこと全部書くとすごく長くなりそうなので、なるべく簡単にしようと・・・努力します(笑)。
●ひと言でいうと
すっご~く良かった!
言ってみれば、歌舞伎ならではの伝統の美学と、お隣の劇場のタカラヅカの純愛ファンタジーと、イマドキのBL趣味の萌えポイントをしっかり押さえた、これ以上なく美味しいお芝居です。
http://www.somemoyo.com/とてもお耽美で、ロマンティックで、コミカルな部分もありつつ、でも「孝」や「忠」や「恩」といった日本古来の価値観を礎にした、古典の魅力もたっぷり。歌舞伎が好きな人も、そうでない人も、文句なしに楽しめると思います。
・・・って、ひと言じゃないし(爆)。
●お染ちゃん
染五郎といえば、歌舞伎界のサラブレッド。
とびきりの美貌に恵まれた、神様に愛されているとしか思えない名門の御曹司ですが、もちろん「血」と「美貌」だけで、今の地位を確立してるわけじゃありません。
彼が本気で、全身全霊をかけてこの役に打ち込んでいるのがわかる。心から、芝居を楽しんでいるのもわかる。そして彼の、類まれな存在感も。舞台は肉体芸術だというのを、ひしひしと感じます。
彼の情熱と才能が遺憾なく発揮されているのが、このお芝居。必見です。
●愛之助の奇跡
まずは、謝罪から。

このポスターを見たとき、「Photoshop過剰だろう」などと確証もないままに暴言を吐いたことを、ここに深く深くお詫び申し上げますとともに、謹んで発言を撤回させて頂きます。
愛ちゃん、ごめんね。
もともと容姿の良い役者であることは知っていましたが、幾らなんでも、前髪(=元服前、つまりせいぜい14~15歳ほど?)の美少年を演じるのはちょっと無理があるだろう・・・ってね、思っていたのですよ(苦笑)。
ましてや、半端なく色男の染五郎がひと目惚れしちゃうような美童なんて、ねえ。
しかし、しかし・・・!
驚くべきことに、ポスターは真実を語っていました(笑)。
あでやかな衣装に身を包み、伏し目がちに楚々と歩く愛之助の美しいこと、美しいこと・・・!
その匂うような美少年ぶりに、眩暈がしそうでした。思わず杜若(かきつばた)の花を手折って贈った染五郎・・・じゃなくて、大川友右衛門の気持ちが、わかってしまったよ~(苦笑)。
微笑んでいても困っていても、ためらっていても怒りに震えていても、どの角度から見ても、とにかく愛之助の演じる印南数馬は魅力的でした。
いやあ、凄かったです。眼福でした。
ぷふ♪
●不義密通
小鳥さんがブログに書いているとおり、この物語のキーワードは「不義密通」です。
大川友右衛門(攻め、ところによりヘタレ、染五郎)と印南数馬(受け、未成年、愛之助)の恋が「禁断」であり、「不義密通」として糾弾されたのは、男同士だから、ではないのですね。
そうじゃなくて、数馬が細川のお殿様のお小姓だったから、なのです。つまり殿様のもの。殿様のお手つき。(・・・とは必ずしも限らないかもしれないけど、数馬の場合は、まあそうでしょうねえ。なにしろ浅草の寺小姓だったのを、通りかかったお殿様に見初められて、召し上げられたくらいですから。)
お芝居ではそのあたり、あからさまに描いてはいないので、わかりにくいかもしれません。でもそこを知らないと、話が見えなくなっちゃいますよね。
殿様が実際、数馬に惚れていたのかどうかは分からない。分からないし、当時の感覚は、今でいう「愛人」とは違うわけですが、それでもなお、彼がお殿様のものであったのには違いない。
つまり数馬が、大川友右衛門に懸想されて、その想いを受け入れたってことは、殿様から見れば不倫。浮気。ええ、裏切りに他ならないのですよ~。
だから不義。
不忠、でもありますね。
処罰されてしかるべきところを、逆に許されて、あまつさえ二人の門出を祝ってすらもらえるんだから、恋人たちがお殿様に感謝し、あらためて絶対の忠誠を誓ったのも頷けます。
考えようによっては、このとき既に一度は失った命。それをお殿様に預けた・・・という気持ちがあるから、この物語後半のクライマックスが真実味を持つのかもしれないなあ、と思いました。
●長いよ、おい
・・・すみません、話が終わりませんね(爆)。
しょうがないので、このあたりで強制終了します。また続きは、追々に!