●日曜日は
晴れたのはよかったけど、暑かった!(笑)
都心をぽてぽて歩いていて、あまりの熱気に死にそうでした。
ぐだぐだに疲れた小鳥さんが、カフェでアイスカフェオレを頼むほどの暑さ。
※彼女は真夏でも基本、ホットを欲しがる寒がりさんです。
あとで聞いたら、最高気温が30度くらいあったんですってね・・・(汗)。
10月も後半にさしかかろうという時期に、真夏日なんてヒドイ。
さすがに、疲れました。。。

日比谷というか有楽町の街並みには、でっかい海老蔵ポスターが。
http://www.asahi.com/shopping/news/TKY201110130562.html・・・いやあ、泰然と傲慢な若き天才役者、やっと復活ですね(笑)。
こういうところ、たしかに嫌われも妬まれもするんでしょうけど、彼はこうじゃなくっちゃ。
華やかさを持った芸能人はいくらでもいますが、それにどっしりとした存在感と、忌々しいほどの自信をみなぎらせた色男ってのは、そうそういるもんじゃないですからね。

他にこれが出来るタレントといったら、香藤洋二くらいしか知りません(笑)。
●ともあれ
やれ、晴れて嬉しや。

・・・小鳥さん、髪の毛が小鳥型になってるし(爆)。
秋晴れにはいささか暑すぎたけど、日生劇場に出かけて参りました。
玉三郎が語る『傾城』『藤娘』『楊貴妃』~日生劇場 10月坂東玉三郎特別舞踊公演
先日も書いたとおり、芝翫さんがお亡くなりになって、いよいよ名実ともに立女形の最高峰に立ってしまった玉三郎。
歌舞伎座の「さよなら公演」シリーズの後、しばらく姿を見なくなっていたので、久しぶりに拝んで参りました。
相も変わらず、いや還暦を過ぎてなおいっそう、どうにも奇跡のように美しい女王、女帝・・・なんて呼んだらいいんでしょう(笑)。
揶揄して、「化け猫」なんて呼んだりもしている口の悪いわたしたちですが、言うまでもなく、彼女(彼)の比類なき存在感に魅せられ、骨抜きになっているという点では、誰に勝るとも劣らない。
・・・あ、日本語、変ですね(苦笑)。
ともあれ、要するに魅入られているんだと思います。
少なくともわたしの場合は、かれこれ20年、25年近くになるかなあ。

日生劇場のロビーには、等身大とおぼしき玉さまの写真がズラリ。
いずれも、篠山紀信さんの撮影です。
ここのコーナーは、ほとんどハトシェプスト女王の神殿・・・でしたね(爆)。
玉さまに魂を奪われた哀れな信者が、女王様の偶像に礼拝する場所という感じでした。
お供え物と賽銭箱がないのが、不思議なくらい(笑)。
え、大げさすぎますか?
・・・その目でご覧になればわかります、たぶん・・・!
●さてさて
舞踊のみ3題の公演ですので、わりとプログラムは短め。
たっぷりある休憩の時間を含めても、およそ2時間で終わってしまいました。
(ほぼソロ公演で出ずっぱりですので、いちいち休憩時間を取らないと着替えも、息を整えることもできないんだと思います。)
それなのに、ああ、それなのに・・・(笑)。
半日たっぷり拘束される歌舞伎の公演に比べたら、はるかに気楽なはずなのに。
それなのに、日生劇場を出るころには心身ともにぐったり、でした。
目も心も奪われて、精神的にいっぱいいっぱいだったとか。
ぐったり疲労を感じるほど、妖魔に生命エネルギーを吸い取られたとか。
・・・どうにも表現がオカシイですが、そんな感じです(笑)。
神々しさにあてられた、ってのもあるかなあ。
まあ、要するに、通常の精神状態ではなかった、ということでしょうか。
「傾城 吉原絵巻」
華やかな花魁道中にはじまり、お座敷で踊る傾城、そしてつれない恋人を思う傾城。
四季のうつろいをテーマにした、古典的な舞踊です。
衣装も舞台も華やかで、初心者でも馴染みやすい、いわば「ザ・玉三郎」って感じですね。
傾城って、本当におもしろい存在です。
遊女でありながら、容姿も教養もお仕事ぶりも最高のものが求められ、男性や広く庶民のあこがれ。
遊女でありながら、真の恋人にいじらしいほどの献身を見せる。
・・・現代の感覚でいえば、どこか矛盾していますよね。
玉三郎の傾城が美しいのは、単に彼の外見や衣装がきれいだからではなく、傾城の心にあるはずの闇をちらり、ちらりとのぞかせるからではないかと思います。
基本、すま~してたおやかに踊るんですが、時折ほんのわずか、ほんの一瞬。
見間違いかと思うほどさりげなく、まるで無意識のように笑うんですよ。
かすかな微笑・・・まさに、ネフェルティティの微笑(笑)。
「あれ・・・いま笑った? 目の錯覚? あれ?」
たぶんそれに気づいた瞬間、もう彼女の妖魔に絡めとられているんでしょうね。
いやもう、参りました。
「藤娘」
歌舞伎の舞台ではしばしばかかる、非常にポピュラーな舞踊。
若い娘に扮した藤の精が軽やかに、かわいらしく踊る明るい出し物です。
これまで何度も見たことがありますが、よく考えてみると、顔ぶれがスゴイ。
歌右衛門さんとか、梅幸さんとか、芝翫さんとか、坂田藤十郎さんとか、ほとんど齢70超え(爆)。
「藤娘」は名優ジジイ(失礼!)がきゃぴきゃぴ10代のコムスメを演じるものだ―――という、歪んだ?認識があったかもしれません、わたし。
※バカにしてるわけじゃないですよ!
※玉さまだって60歳すぎてるでしょ、というツッコミはなしで!
そんなわけで、玉さまの藤娘。
・・・いやあ・・・魂、持って行かれました(笑)。
わたしは個人的に、玉さまにいちばん似合う役は「かわいい、純なお嬢さん」ではなく、「世の中も苦労も知っている大人の女性」だと思っているんですが(芸者と人外が最高)、そういう意味では藤娘は「可愛らしすぎる」んですが、それでも。
それでもなお、玉三郎は凄かったのです。
ひらりひらりと、軽やかに舞ったと思うと、初心な小娘のふりで観客を沸かせ。
やがてほろ酔い加減になってからは、徐々に、愛らしくもあやうい色気を振りまき。
誰もが呆然と見惚れる美しい妖精、そのものでした。
目を見張るような素晴らしい衣装も、特筆もの。
なんなの、あれ(笑)。
「楊貴妃」
これは、玉さまのための書き下ろし、今では代表作のひとつです。
文字通り、世にも麗しきバケモノの役・・・いやいや(笑)。
死んだ楊貴妃の魂が、玄宗皇帝の使いに呼び出されて、愛の日々を回想するというストーリー。
日本舞踊のみならず(ちなみに彼はバレエの名手でもありますが)、今では京劇や昆劇までもマスターしてしまった玉さまの、面目躍如といったところでしょうか。
ただでさえ舞台の上では香華を放つ玉さまが、ここでは幽玄の世界の美しい霊を演じるわけですから、それはもう大変です。
なんかもう、どうにでもしてって感じ・・・(笑)。
気高い、やさしい、哀しい、せつない、もどかしいをすべて、ほんのわずかな目の動き、指先の動きで表現する。
それで観客を飽きさせないって、すごいことですよね。
(飽きるどころか、目が離せないんですよ。)
音楽も歌詞もなんとも幻想的で、「この世ならぬ」雰囲気をうまく出していました。
最後のご挨拶も楊貴妃の衣裳のまま、だからお辞儀も中国風です(笑)。
拍手がいつまでも、鳴りやみませんでした。
●ふう・・・
言ってみれば、逢魔が時みたいなもの?(笑)
歌舞伎界の女王のオーラにあてられて、へとへとになりました。
座ってるだけなのに、ホントに変ですよね。
存在そのものが、奇跡のような人。
―――わたしがこんな表現をするのは、どう考えても玉さまだけです。
どれほど孝夫さんを、愛ちゃんを好きでも、彼らは普通の人間ですもの(苦笑)。
だけど、玉三郎は違います。
どうも大仰な、宗教がかった表現ばかりしてしまいますが、それ以外には、あの希有の存在を表現しようがないんですよ。
彼(彼女)のファンになる人は、たぶんですが、異性として(いや、まあ同性愛でもいいんですけどね)魅かれるわけではなく、憧れの同性として見ているわけでもなく、まるで地球に降臨したかぐや姫のような存在として、彼を見ているんだと思います。
女神さまとか異邦人とか、巫女とかバケモノとか呼ばれるのはそのせい(笑)。
考えてみれば、これはご本人にとっては、大変なプレッシャーかもしれません。
(言わば)人間扱いされておらず、常に非凡であることを期待されるって、普通に考えればかなりしんどいだろうとも思います。
だけど彼自身、その偶像崇拝めいた感情の対象であることに、あんまり疑問を抱いていないような・・・?(笑)
悠然と我が道を行く、そんな彼だからこそなのかもしれません。
いやもうホント、とんでもない人です(笑)。
●将来
いつまで、玉さまは玉さまなのか。
って、意味不明ですね(苦笑)。
丸っきり好き勝手に、彼のこれからを憶測してみると>>
あと数年、きれいでいるうちは、今の路線のままでしょう。
新しい歌舞伎座のこけら落としに、揚巻だの夕霧だの、お孝だの派手にやってくれるだろうと思います。
(っていうか新女王ですので、誰もが彼と共演したがります。)
それでも徐々に、「一世一代」(=もうこれっきり演じない)が増えるだろうなあ。
若い娘の役をやるのが苦しい年齢になったら、たぶん彼は、すっぱりやめてしまうでしょう。
最近は老け役も積極的にやるし、「いつまでもお姫様でもない」的なコメントを発表していますから。
で、たとえば70歳くらいになったら、彼の亡き義父の名跡=森田勘弥を襲名かな。
つまり、一世を風靡した美しい立女形・玉三郎は、そこで姿を消す・・・ってこと。
(さしあたり後継者はいませんので、名前はしばらく「空き」になるだろうと思います。無理に誰かを襲名させる必要もないし、当分は空席でいいんじゃないかな。)
寂しいですが、老いた玉三郎は存在しない・・・と考えれば、彼らしい引き際かもしれません。
以上、むろん全部わたしの妄想です。
なんせ稀代の化け猫なので、70過ぎても十分に美しいかも・・・(笑)。