小さなお話のつづき(みたいなもの)

●今年の

いわゆる10大ニュースに、今ごろになって飛び込みですね。

北朝鮮の金正日総書記死去

いろいろ・・・思うことはありますが、また別の機会に。

とりあえずは何よりも、政権交代がらみで戦争だのテロだの爆撃だのが起きませんように。



●びっくりするほど

たくさんの拍手コメント、ありがとうございます。

お返事はまた後ほど・・・!

こ、こんなヘタレな小咄に喜んでいただけて、本当に嬉しい・・・というか、恥ずかしい(汗)。

タネもしかけもない日常のひとコマですが、とりあえず書いたところまで。


前回のお話>>

http://kyosukelove.blog58.fc2.com/blog-entry-2129.html






虚を突かれて、俺は絶句した。

「あれえ? ねえ、もしもーし!?」

脳天にキンキン響く、若い女性の甲高い声。

陽気・・・というより、かなりハイになっている感じだった。

「あ・・・ああ、そうか」

―――どうやら、これは。

いちど深く息を吸って、一瞬の狼狽を意識の片隅に追いやって。

それから俺はやっと、まともに声を出した。

正直、ホッと胸をなで下ろしたというのが本音だ。

「ああ、セリナちゃんって・・・山崎さんか。誰だか咄嗟にわからなくて、ちょっとびっくりした―――あの、岩城です」

「やん、岩城シャチョー、おはようございまーす! あたしのこと、忘れちゃってたのー?」

かなり酔っているのだろう、幾らか呂律があやしい。

だいたい午前3時半に「おはよう」もないものだが、この業界では珍しくない。

「山崎さん、今どこにいるの」

「・・・んっとねー、よくわかんなーい。たぶん、赤坂のどっか?」

彼女が背後の誰かと言葉を交わすのが察せられた。

「ひとり・・・じゃ、ないよね?」

「うん! みんなといっしょだよぉ」

山崎セリナ。

香藤が所属するサンライズ・プロダクションが春から売り出している新人タレントで、たしか21歳だったか。

俺は一度か二度、スタジオですれ違ったことがある程度だが、物怖じしない明るい子だ。

いま香藤と同じドラマに出演していることもあって、金子さんが面倒を見ていると聞いている。

俺はちらりと、すぐ脇で寝くたれている大男を見下ろした。

―――まったく、のん気なもんだな。

すうすうと寝息をたてて、幸せそうな顔で眠っている香藤。

俺はその額をそっと、指先でなぞった。

落ち着きを取り戻すと、俺はなるべくゆっくりと問いかけた。

「山崎さん、金子さんは一緒?」

「ううん、いないよー」

えへへ、と笑うその声は嬉しそうだ。

小うるさいお目付役がいないので、羽目をはずしているのか。

「誰か、うちに連れて返ってくれる人はいるのかな。ずいぶん飲んでるみたいだけど、その―――」

若い彼女が心配なのは、本当だが。

その反面、もしもうちの新人が、よその芸能プロの代表者にこんな口をきいたらどうしようか、と考える自分に気づいて苦笑した。

―――どうも最近、余所のタレントを見る目が厳しくなったような気がする。

「山崎さん、そのケータイだけど」

「はーい?」

「香藤の携帯電話。拾ってくれたんだろう」

「拾ったっていうかー、カラオケに落ちてたの。セリナがいちばんに見つけたんだよー」

「そうか、ありがとう」

俺は思わず、電話越しに頭を下げた。

「誰のかなーって思って開けてみたら、んふふ、すぐわかっちゃったあ」

電話口で声をひそめるように、彼女は意味ありげに笑った。

「ああ、待受か・・・」

つまり待受画像が俺だった、ということだろう。

―――いったい、どんな「俺」だったのか。

頬にかすかに血が上るのを感じて、俺はあまり恥ずかしい写真ではなかったことを切に祈った。

ともあれ、彼女が拾ってくれたのは幸いだった。

「山崎さん、明日の仕事は?」

夜遊びを咎めているように聞こえはしなかったか、言ってから少し気になった。

「えっとね―――うん、そうだ、午後から青山のスタジオ・・・だったと思う」

「地方に行く予定はある?」

「ないなーい。みんなトーキョー」

彼女は今ひとつ自信なさげだったが、都内にいることがわかればそれで十分だった。

「そうか、わかった。じゃあ悪いけど、そのケータイは持っててくれるかな。明日かならず、引き取るようにするから」

香藤は明日オフだから、仕事場で彼女に会うことはない。

本来なら彼女の家まで、香藤が自分で取りに行くべきだろうが、万が一そんなところを盗撮でもされたら、よけいな騒ぎになる。

―――となると、やはり。

ここは頭を下げて、朝になったら金子さんか、場合によっては清水さんあたりにお願いするしかないだろう。

「すまないね、預かってもらっていい?」

「うん。はあい」

眠そうな彼女の声に、また心配が募る。

「山崎さん、こんな時間だ。気をつけて帰って―――」

つい口うるさく言いそうになって、俺は言葉を呑み込んだ。

いくら若いといっても、彼女だって大人だ。

あまりくどくど説教するのも、余計なお世話というものだろう。

―――俺の歳の半分、なんだよな。

幼くて、危なっかしく見えるのも道理だ。

ふとそう思って、俺は苦笑した。

「ねえ、岩城シャチョー?」

酔った彼女の声は、甘くかすれていた。

「なに?」

「・・・電話くれるの、香藤さんだと思ってたんだー、あたし」

それから小さな笑い声。

―――え・・・?

そこに照れと、ほんのわずかな失望が混ざっていたように聞こえたのは、俺の思いすごしだろうか。

香藤が、サンライズ・プロの若い子たちに絶大な人気があるというのは知っている。

山崎セリナもだから、同じような憧憬を抱いていたとしても不思議はないのだが・・・しかし。

―――もしかして・・・?

いや、考えすぎるのは俺の悪い癖だ。

「そうだね」

俺はつとめて明るく返した。

「ここにいるこの酔っぱらいが起きててくれたら、俺もこいつに架けさせたと思うよ」

「・・・そっかー」

それ以上は話すことがなく、俺は会話を切り上げた。

「じゃあ、おやすみ。気をつけて帰ってね」

「はぁーい」

―――くれぐれも、香藤の携帯電話をなくさないでくれ。

それを何より心配する自分に、俺は苦笑した。







2011年12月19日
藤乃めい

つづく・・・ような気もする・・・(苦笑)。


【19/12/2011 22:51】 春を抱いていた | Comments (0)
雑想記☆カウンタ
(counting since 3 Dec 2006)
ゆすらうめ☆カレンダー
降順 昇順 年別 プルダウン

11月 | 2011年12月 | 01月
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
ゆすらうめ☆タグクラウド

プロフィール

藤乃めい

Author:藤乃めい
ロンドン在住の自称☆ヘタレ甘々ほもえろ字書き(兼エッセイ&レビュー書き)。別名=ましゅまろんどん。

2008年秋より、出向で六本木に島流し中。

純愛☆官能大河ドラマ『春を抱いていた』をこよなく、果てしなく愛してます(笑)。岩城さん至上主義。寝ても醒めても岩城京介氏のことしか考えられず、日常生活に支障が出ることもしばしば(爆)。・・・いや、マジで。

常に人生破綻の危機に怯えつつ、今日も愛の溢れる純文学☆ほもえろ道の探求に精進してます(笑)。

ブログ内検索
案内板




『春抱き』を大好きな方なら、どなたでもご自由にお持ち帰りください。リンク用バナーではありませんので、ご連絡不要。直リンクはご遠慮くださいね。