●TBのお題から
「夏の思い出、写真で見せます!」
なんて都合のよいお題なんだ・・・(笑)。
一枚目は、群馬の自然公園。

二枚目は、数日前の軽井沢。

避暑地のわりには暑い軽井沢、が定番だと思っていたわたしですが、この日はちがいました。
近くの(群馬県の)観測地点が34度!を叩き出してるにもかかわらず、わりと涼しい。
比較的、って話ですが、たぶん27度くらいでしょうか。
「避暑地として機能することもあるのね・・・(笑)」
などと、思っていました。
軽井沢の写真は、またいずれ。
●先日ちょっと
教えられて、試してみました。
Google画像検索に「atari breakout」って入力するとゲームができる、ってやつ(笑)。
http://gigazine.net/news/20130514-atari-breakout/なんか、奇妙になつかしいブロック崩し。
遠い昔ですが、かつて、こんなのをたしかにやった記憶が。
※音が出ます。消音できますが、デフォルトの電子音がけっこう大きいので注意してね。

裏技・・・っていうのかしら。
Googleのこの手のお遊び設定、面白いですよね。

単純なゲームだけど、意外とクセになるかも・・・?
ときどき青いバーやボールがフリーズするので、もどかしいこともあります。
スコアが上がると、どうもボールの動きもあやしくなってきます。
おヒマなときに、お試しください。
●読んだ読んだ
久しぶりに長編を読みました。
といっても社会派ミステリ、というか心理サスペンスか。
英語だと、スリラー、といういい方をするかもしれません。
「模倣犯」、宮部みゆきのベストセラーですね。
(映画にもなった。ただし原作ファンには、評判はクソミソに悪い。)
まあ、要するに非常にメジャーな作品です。
今さらの大長編ですが、話がおもしろいので一気読みできちゃうと思いますよ。
※以下、ある程度のネタバレを含みます。
社会派サスペンスの場合、古典的なミステリ(本格推理小説)とは、ネタバレの比重がちがうかもしれません。
誰が犯人か、最初からわかってたらつまらない!
・・・ってのは、もちろん、当然のことなんですけど。
それが最後の最後、トリックの謎を解いてのクライマックスになるのが、本格推理。
(小説を読みすすめながら、読者も探偵役と同じように、真犯人を推理するのが前提だから。)
社会派サスペンスの場合には、そうでないケースも多い。
話の途中で、あるいは最初から、犯人が犯人だとわかるように描かれることも多いんですよね。
この話もそう。
犯人探しはちっとも、主眼じゃないのね。
だからあっさりと文庫の二巻目で、犯人視点の物語が展開します。
第一巻>>
最初はまず、都内の公園で女性の遺体の一部&遺品が見つかるところから。
ミステリーとしての立ち上がりです。
第一発見者たち、被害者(かもしれない行方不明者)の家族たち、そして警察。
彼らの怒りや不安をあざ笑うように、マスコミに接触する犯人。
ぞれぞれの視点から、話が動き始めます。
巻き込まれた人々には、当然ながらそれぞれの人生がある。
両親の離婚騒動に悩む若い女性、援助交際をやってのける女子高生。
犯人は誰なのか?
被害者は誰なのか?
何が目的なのか?
これに、第一発見者の少年自身の過酷な人生も加味され、どう転がっていくのかわからなくなります。
第二巻、三巻>>
第二部では、ガラリと視点がかわります。
ありふれた商店街を舞台に、数人の少年たちが登場。
蕎麦屋のおっとり息子、薬屋の美少年、お洒落なマンション住まいの転校生。
彼らの生い立ちや人間関係が、エピソードを積み上げて丁寧に描かれます。
人によっては、だれる、と感じるほど詳しく。
「ねえ、これがどう、例の連続殺人事件に繋がってくるの?」
って、時に焦れそうになるくらい。
これがいつの間にか、犯人視点の物語になってゆく。
第一部のストーリーとその前後を、同じ時間軸を、今度は楽屋からもう一度眺めるのですね。
残酷な、とても陰惨な犯罪なのに、なんて楽しそうなんだろう。
平凡な日常と隣り合わせの狂気。
不愉快なのに、気になってしまう。
いちばんハラハラするのは、この部分かもしれません。
第四巻、五巻>>
そして、第三部。
犯罪が暴かれ、その犯人とおぼしき二人組が事故死を遂げる。
被害者の遺族も、マスコミも警察も。
みんな一抹の不満、不安を抱えてはいるものの、事件は収束に向かうと思っている。
(読者は、それが真実ではないことを知っている。)
そこに颯爽と登場するのが、ひとりの青年。
「僕の幼馴染みのAとBが犯人だと目されているが、少なくともBは違う。真犯人Xは他にいる!」
そう主張し、世間から石持て追われるBの妹に寄りそう。
そもそもBを犯罪を結びつける物証に乏しいことに、誰もが居心地の悪さを感じ始める。
「Bはそんな奴じゃない」
援護射撃をする他人も登場し、事件は再び混迷の様相を見せ始める。
警察はなぜ、AとBが真犯人だと正式に発表しない?
Bは共犯者なのか、それとも被害者なのか?
真実はどこにある?
被害者の遺族も、その周囲の人間も、ふたたび複雑な感情の渦に飲み込まれる。
・・・というのが、あらすじです。
あらすじのくせに、長くてすみません(汗)。
この小説の第一のキーワードは、愉快犯。
連続殺人で血まみれの手をしていながら、楽しんでいるとしか思えない犯人たち。
金でも、怨恨でも、痴情のもつれでもない動機。
かといって、猟奇的に、殺人そのものを愉しむふうでもない。
より独創的な、よくショッキングな犯罪という劇作品を、よりドラマチックに演出する。
そこに悦びを、プライドを感じる犯人像を、延々と描いています。
二つ目のキーワードは、重層性。
同じ出来事を、あえて視点を変えて二度、三度と語ることで、
(だから時系列は、行きつ戻りつする)
「そういう意図だったのか」
「そういう考え方もあるのか」
と、人間の事実認識が、その人の立場によってガラリと変わることを示している。
ひとは信じたいようにしか信じない、と言ってもいいかな。
犯人はなぜ、こんなことをしたのか。
最初はわからなかったことが、やがて犯人自身の言葉で説明されていく。
三つ目のキーワードは、マスコミ。
警察に協力するのが最優先ではなく、特ダネ確保にやっきになるテレビ局とかね。
この「警察vsマスコミ」の構図だけは、ちょっとわからなかったなあ。
いや、わからない、ってのは正確じゃないですね。
この小説の書かれた時代はそうだったのかもしれないけど、今現在だったら、こうならないだろうなあ。
・・・そう感じる箇所がいくつもあって、若干うだうだする。
犯人からテレビ局に電話がかかってくる、そんな場面が何度もあります。
それを録音したテープを、(声紋鑑定などのために)警察が提出するように要請したのを拒否する、とか。
犯人からのタレコミを、警察にはいわない、とか。
(いずれにしても、匿名の情報の提供者を守る、なんて言い訳のきかない状況で。)
「いや、それはないだろ。捜査妨害だろ・・・」
これは何回か、首をかしげてしまったなあ。
宮部さんはなにしろ、緊迫感とリアリティあふれる描写が売り。
ってことは、このマスコミの態度も、(少なくとも)この小説の発表当時は
「さもありなん」
・・・だったってことなのでしょうか。
ところで>>
未回収では? と思われる伏線がいくつかあります。
(メモ: 嘉浦舞衣、小樽の女性、小学生が拾ったケータイ、印刷所の増本くんへの電話、電話相談。)
これらいずれも、真犯人を明らかにする重要なヒント。
その後どうなったのか、書いてほしかったなあ。
「小説には書かれていないけど、たぶん、警察に話は行ったんだろうな」
と想像するしかないのね。
たぶん役に立ったんだろうけど、ちゃんと教えてほしかったですね。
ちなみに>>
些細なことですが、1巻の季節感の描写。
話は9月12日の朝から始まるのですが、そこが妙に引っかかりました。
秋の気配・・・?
都心の9月で・・・?
(残暑どころか、実質的にはまだ真夏でしょう?)
初秋の空気感の描写や、ジャケットを着てるという記述。
いずれも、とてもじゃないけど、信憑性があるとは思えない。
長い長い物語の出だしなので、よけいに気になるのかな・・・(汗)。
異常気象で冷夏の年だったというなら、いいんだけどね。
季節の描写なんぞ、ストーリーには影響ないんですけど、ものすごく違和感があったなあ。
ついでに>>
重要な登場人物のひとりに、女性ジャーナリスト(ライター)がいます。
個人的にはあまり好感のもてる人物じゃないんだけど、事件を動かすキーになる人物。
フリーのライターで、女性誌に細々と記事を載せていた彼女が、ひょんなきっかけで、硬派の事件ルポの世界に足を踏み入れる・・・んだけど。
彼女、わりと最近に結婚したばかり、という設定なのね。
で、結婚して筆名(本名まんま)を新姓に変えているんだなあ(笑)。
旧知の地方警察のコンタクトに電話して、新姓で名乗って、相手が「?」となってはじめて、
「ああ、そうだった!」
と、相手が自分の旧姓しか知らないことを思い出す。
ささいな場面なのですが、ものすごい違和感を覚えました。
いやいやいやいやいや、モノ書きのはしくれとして、それはないだろう。
ないない、考えられない。
結婚して姓が変わっても、今までの筆名を変える必要なんかどこにもない。
必要ないばかりか、むしろライターとしての実績があればあるほど、筆名を変えるなんて損でしかない。
ン10年も前の話ならいざしらず、現代の話で、しかもこの職種で。
イマドキふつうの会社員ですら、旧姓をそのまま通名にする女性も多いのに。
ちょっと信じがたいし、彼女のキャラ設定からしても、不自然に感じるのですね。
(わざわざ姓を変える理由が、小説の中にあるわけでもない。)
これを意図的に書いたにせよ、無意識にそう描写したにせよ。
ここに、宮部みゆきの女性観、価値観が見え隠れするような気がしました。
もひとつ>>
宮部みゆき独特の表現、言い回し。
「行けない」ではなく、「行かれない」
(これはものすごく多い)
「おっつかっつ」
(これも何度も出てくる)
20歳の娘が、「お母さん、お風呂を立てておいてね」
(お風呂を立てるって・・・? 日常生活で聞いたことないけど)
30歳そこそこの女性が、「煙草をのむ」
(書き言葉としてはありなんだけど、イマドキは言わないでしょう)
言うかなあ・・・?
まちがってるわけでも、おかしいわけでもないけど、すごく気になるのよ・・・(苦笑)。
あ、言葉のチョイスは自由なので、文句があるわけじゃないんです。
仮に古くさくても、仮に方言だとしても、作家の自由だとは思う。
だけど、この小説もそうだけど、宮部さんの社会派サスペンスは、タイトな緊迫感が売り。
静かにひたひたと、冴えた、押さえた筆遣いで、息もつかせないのね。
登場人物のほとんどが標準語を話すのも、そういう意図があるからでしょう。
その中で、ちょっと個性的な言い回しは浮く・・・んですね。
どうしても、アレ?って気になってしまう(汗)。
まあ、細かいことですね。
(彼女の「火車」や「スナーク狩り」では、こういうの気にならなかったけどなあ。)
・・・以上。
細かいチャチャも入れましたが、あれです。
この長編が大変な力作であるのは、まちがいない。
終着地点が意外だったとはいえないけど、そこまで息をつかせぬ展開だった。
不条理な、どうしようもなく気の毒な関係者もあった。
思わず涙ぐむ場面もあった。
完成度、高いです。
こわくない(おどろおどろしくない)スリラーをお求めの方には、最高の五冊です。