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大谷翔平くん
無念の故障者リストに入って、3週間。
右ひじの靱帯損傷(部分断裂)で、治療を受けてから3週間。
エンジェルズが公表した現状は、こんな感じ。
☆治療の効果は上がっており、順調に回復しつつある。
☆医者から、打撃OKの許可が出た。
☆本人の調子が良ければ、指名打者としての一軍復帰は近い。
☆投手としての復帰は未定。
☆3週間後にもう一度検査をして、その結果で判断する。
☆現時点では、外科的処置の必要性は指摘されていない。
うん。
まずまずのニュース、かなあ。
想定通り。
最後の一文だけ、やたら弁護士っぽい作文ですが、これはあれだ。
実際にエプラーGMがいった内容なので、しょうがない。
要するに、記者が知りたいのはひとつだけ。
「トミージョン手術をするのか?」
それに対して、慎重に否定しているという印象です。
前にも書いたでしょうか?
トミージョン手術。
トミー・ジョンって、最初にこの手術を受けた選手の名前らしいですね。
日本語で説明すると、側副靭帯再生手術。
簡単にいうと(簡単にいっていいのか)、こういうことだ。
靭帯つうのは、上腕と下腕の骨をつないでる。
関節のコンポネント。
靱帯がないと、腕は動きません。
野球の投手に多いのですが、投げる腕の肘にとても負担がかかる。
靱帯が切れてしまったり、切れなくてもダメージを負うことが多い。
(靱帯の理不尽なヤワさを、「とっても頑丈なスパゲッティ」とか表現する人もいます。)
靱帯ってもって生まれたもので、自分でどうにか改善できるものじゃない、らしい。
トレーニングで強靭にするとかって、不可能なのね。
50歳まで現役で投げて、一度も靱帯が切れないプロもいる。
大学生のうちに靱帯が切れて、トミージョンした人もいる。
投球フォームや、球速が関係するともいいますが、未だに原因はわからない。
「靱帯の切れない投球法」 を編み出したら、ノーベル賞じゃないの?
と、思います。
メジャーでも日本でも、トミージョンした投手はいっぱいいます。
みなさんがご存知な名前でいうと、ダルビッシュ有とか、松坂大輔とか。
そのあたりでしょうか。
で、そのダメになっちゃった靱帯ね。
人間の身体はマジックなので、何もしないで大事に、大事にしてると治る。
・・・らしいですよ。
いつかは。
自然治癒すげえ。
それが5年後、とかかもしれないけど。
プロの野球選手の場合は、当然ながら、悠長にいつまでも待つわけにもいきません。
(そう。靱帯が切れるような危険なお仕事をしてるのは、ほぼ、プロ野球の投手だけです。)
だから、治療方法がいろいろと生まれています。
「じっと安静にする」
以外だと、軽傷なら、「PRP治療」 というのがあります。
これ、大谷くんが受けた治療ね。
ちょっと前だとまーくんも、これを受けて復活しました。
靱帯の自然な治癒力を高めるために、血小板とか、ステムセル(幹細胞)とかを注入します。
自分の血液から必要な成分だけを取り出して、自分に戻す感じ。
これなら自分の血だし、注射針ひとつで済む。
リスクの少ない治療法です。
治癒を待つといえばそうなんだけど、ただ待つよりは効率がいいようです。
ここも理不尽な部分なんですが、治癒力も、自分ではどうしようもない。
トレーニングでよくなるわけでもないし、食べ物とかも関係ない・・・らしい。
PRP治療で、わりと早く、わりとまっとうに治る人もいる。
まーくんが、まさにこの例ですね。
あまり効果が上がらなくて、結局トミージョンに踏み切るひともいる。
個人差の世界です。
で、それでも靱帯が復活しない場合。
あるいは、完全に断裂してしまってるような場合。
トミージョンの出番になります。
どうするのかっていうと、わりとびっくりよ(汗)。
プツッと切れちゃったスパゲティ・・・もとい靱帯を、手術で取り除く。
代わりに、健康な別の靱帯をそこに埋め込む。
健康な靱帯ってさ、自分の、です。
損傷のないほうの腕とか、太ももとか、とにかく身体のどこかの靱帯。
それを切ってきて、壊れた靱帯と取り換えるのだ。
うきゃあ。
|||(-_-;)||||||
当然ですが、かなり大がかりな手術になります。
痛いよ。
長いよ。
成功率は高いし、別に生命の危機とかには(ふつうは)なりません。
なりませんが、しかし。
投げるほうの腕に、肘に、メスを入れるのです。
投手にとって、それが怖くないはずがない。
おまけに、自分の身体からとったとはいえ、ヨソモノの靱帯を植えつけるわけです。
それが骨になじみ、関節になじみ、腕の一部になるまで、長い時間がかかります。
(あんまり話題にならないけど、その「代わり」の靱帯を失った手か、足かは、大丈夫なんだろうか。)
そして、リハビリ。
ひたすらリハビリ。
ふつうの人間なら、腕が動けばいいんです。
でも、ピッチャーだからね。
腕を、肘を、おそるおそる動かすところから初めて、さ?
びゅいーん!と鞭のようにしなって、時速160キロの剛速球を投げるところまで、戻さないといけない。
辛抱強いリハビリが、場合によっては1年以上。
きびしく辛い道です。
なお、最近はトミージョン手術の数も多くて、リハビリ例もとても多い。
結果的にノウハウが蓄積されていて、成功率は高いです。
ただし、剛速球投手が必ずしも、ふたたび剛速球を投げられるかどうかはわからない。
そこはリスクであり、賭けですね。
で、まあ。
そういうわけで、トミージョン手術は多くの場合、必要悪と見なされています。
長期間、選手が戦線を離脱するわけだから、チームにとっては痛い。
ファンにとっても痛い。
だけど、他に方法がないのならしょうがない。
―――そんなかんじ。
だからこそ、大谷くんの怪我を受けて、マスコミの興味はそこに集中する。
「トミージョンをやるのか? やらないのか?」
「本当にやらなくていいのか? 問題の先送りでは?」
「やるなら、今すぐのほうがいいんじゃないのか?」
こうした疑問に対する答えが、さっきの、
「No doctor has told me that Shohei needs surgical intervention at this time」
というGMの答えなんでしょうね。
チームにとって悩ましいのは、もちろん、大谷くんが二刀流であるという事実です。
彼が単に投手であるなら、ことはもうちょっとシンプルかもしれない。
でも、彼は同時に打者でもある。
で、これが「メジャーには掃いて捨てるほどいる」程度の打者なら、怪我をいいことに、
「投手に専念しよう、ね?」
というのもあり得た・・・かも、しれない。
だが、しかし。
幸か不幸か、大谷くんの打撃のセンスは、思ったよりも早く開花してしまった。
というか、地元でのシーズン開幕3連戦で3ホームラン。
あの衝撃が凄すぎて、たぶん、みんな予想外すぎて度肝を抜かれてしまった。
ホームランを打つセンス。
その飛距離。
日本でもそうだったけど、今やアメリカでも、
「ショーヘイ・オータニの打撃練習は、一見の価値がある」
と知れ渡ってしまっている。
空の向こうまで、がんがん飛ばすからね(笑)。
敵地に行っても、敵チームの選手がみんな、大谷くんの練習を見にわざわざ手を止める(笑)。
エンジェルズの首脳陣ですら、ここまでは期待してなかったでしょう。
で、今のエンジェルズですよ。
レギュラーに故障者が15人も出て、はっきり言ってボロボロ。
(そもそも一軍登録できる選手の数が、25人ですよ。そのうち15人が負傷とか、呪われてるんか。)
投手としての大谷くんはしばらく塩漬けにしてでも、打者としての大谷くんに戻って来てほしい。
天才マイク・トラウトの孤軍奮闘には、限りがあるからね・・・(汗)。
というか、彼もしばらく故障者リストに入ってたっけ。
指名打者大谷に、帰って来てほしい。
トミージョンを、いつか、やるとして。
※わたし自身は、しないで済むことを祈ってますけど。
でもそれは、今じゃない。
それをやると、打者としての大谷くんすら、しばらくのあいだ失ってしまうから。
―――そういう計算があるのかな、とは思います。
●閑話休題
大谷くんとマイメロ。
うふふ。
たまには、こんなもんで和んでみる。
https://twitter.com/i/moments/917303102142742529去年はこれで、ずいぶん萌えた(笑)。
あ。
あと、7月5日は大谷くんの誕生日です。
24歳だって。
その時には、試合に出てるといいけどなあ。
●では
またね。。。