孝夫ちゃんの助六を見に

●TBのお題が

「誕生日の悲しい思い出」

というのは、わたしには聞いてはいけないと思う。

本当にね。

(ρ_;)。。。

御巣鷹山にジャンボ機が墜落した日です。

わたしはティーンエイジャーでした。

外国にいました。

衝撃でした。

今も引きずってると思う。

知人、友人を失ったわけではないのに。

それ以降、誕生日を素直に、わくわくと迎えたことはない。

もちろん個人的に楽しいとか、嬉しいとか、そういう思い出がないわけではない。

だけど、心の片隅にはあの事故がある。

常に、忘れることはない。

絶対に、未来永劫、忘れさせてはくれない。

(忘れたいわけじゃないけど。)

そう思います。



だからね。

たまに思います。

偶然だけど、大きな事故や、世間を騒がせた事件や、自然災害の発生した日。

そういう日が、たまたまお誕生日のひと。

素直にお祝いできないだろうなあ、と思います。

たとえ何ら関係はなくとも、完全に無関係ではいられない。

圧倒的な悲劇の前に、沈黙するしかないときもある。

無邪気に、わくわくできないもの。

子供だったらかわいそう。

・・・だろうと思ってしまうわ。







●孝夫ちゃん、

といえば、もちろん。

人間国宝、十五世片岡仁左衛門のことでございます。

歌舞伎界きっての色男。

・・・と、一時はいわれてました。

昭和の歌舞伎ブームの火つけ役(玉さまと一緒に)。

究極の色悪。

凄まじい女性人気で、一世を風靡したお方です。

(*/∇\*)

詳しいことは省く。

ま、要するに、わたしが30年ほどファンをやってる方です。

(´∀`σ)σ



その孝夫ちゃんが、20年ぶりに歌舞伎座で 「助六」 をやるという。

仁左衛門が語る『助六曲輪初花桜』

片岡仁左衛門、20年ぶりに歌舞伎座で助六「芸術祭十月大歌舞伎」集大成への思いを語る

さて。

いいたいことは山ほどありますが、どこから始めよう。

彼のその20年前の助六を、わたしはちゃんと見てます。

あたりまえだね。

大病をして、しばらくして奇跡の復活を遂げた、その復帰公演であったと思います。

花道の近くから、彼の登場を見上げて、喜びの涙にむせび泣いたものです。

(//∇//)



助六という役。

これも説明すると長くなるので端折りますが、あれだよ。

江戸のいい男の代名詞です。

いうまでもなく、市川宗家のひとたちの持ち役のひとつです。

團十郎、海老蔵のおうちのことですね。

(市川宗家に遠慮して、他の家系の者が演じるときには、タイトルをちょっと変えます。)

選ばれたごくわずかの立役にしか、そもそもやらせてもらえない役です。

それを関西出身の孝夫ちゃんが、どうして演じることになったのか。

―――これにも長い由来があります。

ま、端的にいうと、孝夫ちゃんがちょっと特殊なのだ。

彼は若いころから大阪を離れて、東京で修業をしてきた。

上方歌舞伎の名門の出身でありながら、つまり、江戸歌舞伎の薫陶を受けたひと。

ハイブリッド。

今の言葉でいえば、江戸と上方の二刀流だ(笑)。

(*´∀`*)

東京では後ろ盾のない若い孝夫ちゃんを、かわいがってくれた当時の江戸歌舞伎の重鎮たち。

そのひとりが、中村勘三郎です。

数年前に亡くなった勘ちゃん(十八世)じゃなくて、彼のお父さんのほう(十七世)。

孝夫ちゃんにしてみれば、十七世は恩人であり、師でもあります。

十八世はかわいい年下の幼馴染み。

本当に仲が良くて、弟のようにかわいがっていたのは有名な話です。

自分を 「兄さん、兄さん」 と慕ってくれるかわいい勘三郎

その彼が早世して、もっともショックを受けたのが仁左衛門ではないかと思います。

。・゚゚ '゜(*/□\*) '゜゚゚・。



その、十八世の追善興行です。

仁左衛門が出演する意味。

それはもう、ひたすら、勘ちゃんへの思慕。

そして勘ちゃんの二人の息子たち、勘九郎と七之助への愛情と責任感に他なりません。

インタビューにあるまんま、だと思う。

十七世に教えられた助六の極意。

それを、いつの日か十八世に伝えようとして、実現しなかった。

くす、と笑ってしまう。

勘ちゃんは天才役者だと思いますが、正直いうと、うーん。

江戸いちばんの色男、助六・・・のニンではない(笑)。

キャラがちがう、という意味です。

勘ちゃんほどの役者が、やりたかったのに実現しなかったのは、そういうことでしょう。

・・・くふ。

「いつか俺もぜったい、助六やるからね。そのときは兄さん、教えてよ」
「いいけど、助六をやるなら、江戸歌舞伎の人(團十郎さんとか)のほうが・・・」
「いーや。俺は兄さんがいいの。オヤジが兄さんに教えたの、それを俺は知りたい。やりたい」

という会話が、まるで聞こえて来るようです。

いや、ホント。

(〃∇〃)

でも、勘ちゃんがあわてて逝っちゃうもんだから、実現しなかった。

後を引き継ぐのは、もちろん勘九郎です。

彼に身をもって教えること。

それは孝夫ちゃんにとって、ほぼミッションのようなものでしょう。

(片岡家のほうにも、残念ながら、助六を受け継ぐ役者は・・・いないような・・・愛之助・・・?)

彼はいわないけど、集大成という言葉には、これが最後かもしれないと思わせる。

焦燥感が募ります。

勘九郎にとっては、仁左衛門を媒介に、祖父の芝居を継ぐことになります。

いつか、彼が、助六をやるために。



そして、同じくらい重要なミッション。

それは助六の恋人役の花魁、揚巻を演じられる女形を育てること、です。

今の歌舞伎界。

一見たくさんの若い役者、それほど若くない役者がいますが、あれよ。

今の時点で揚巻を演じられる女形は、ひとり。

たったひとりしかいません。

むろん、坂東玉三郎サマのことです。

そして前にも書きましたが、どんだけバケモノのように、あり得ないくらい若く美しくても。

玉さまはもうそろそろ70歳に手が届きます。

ヽ( ゜□ ゜;)ノ ・・・おどろき。

本当に、文字通り、歌舞伎座で揚巻ができるのは、玉さまだけ。

これは由々しき事態です。

(福助が元気でいるのであれば、ここまでのクライシスにはならない。)

揚巻のいない助六。

それはもう、ジュリエットのいないロミオです。

お芝居になりませぬ。



揚巻は、女形の中でも特に選び抜かれた、真の立女形にしかできない。

やらせてもらえない。

それを今度、まだまだ若い、若すぎるほど若い七之助(35歳)がやるという。

※玉さまが共演しますので、手取り足取り教えるのはもちろんオネエタマ。

「七之助くんを揚巻役者にしたい」

という仁左衛門の言葉は、めちゃくちゃに重たい。

そう。

普通なら、歌舞伎座で揚巻をやるのには、七之助では若すぎる。

どんだけ才能があったとしても、場数を踏まないと回って来ない役です。

それを、お父さんの追善という名目ではあるけど、強行する。

・・・は、言い方が悪いかな。

大抜擢する。

そこには、勘ちゃんへの思いだけではない。

歌舞伎界の未来を見据えた、長期戦略がありますね。

いっそ、危機管理の賜物のような気すらします。









それにしても、七回忌かあ。

いまだに信じられない。

今でもしれっと、どこかから帰って来そうだって。

息子たちがいってましたが、わたしですらそう思います。

死んだ、というふうには思えない。

6年も前に亡くなったひとが、今なおこれだけのインパクトを持っている。

これはまさに、勘ちゃんだけの持つパワーであろうと思います。

というか、ね。

歌舞伎界はいまだに、勘三郎ロスから立ち直っていない。

えらい役者さんは他にも、ここ何年かで亡くなっています。

みんな悲しかった。

みんな惜しまれた。

でも、勘ちゃん。

彼だけは、どうあっても代わりが見つからない。

(ρ_;)。。。



まあ、そんなわけで。

10月の助六、見に行きます。

といっても、おそらくもうチケットはないだろうから幕見ですね。

並びますよ。

ええ。

その話を昨日、小鳥さんとしました。

「で、いつ行く?」

孝夫ちゃんの助六。

七之助の揚巻。

勘ちゃんの追善興行。

(ちなみに、孝夫ちゃんと玉さまの共演なのですが、それにはあえて触れません。)

どうしましょうか、という考えはなかった。

お金も時間も余裕はないが、行く。

行く、以外のオプションはありません。







●では、

またね。。。


【30/09/2018 03:14】 歌舞伎2013~ | Comments (0)
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プロフィール

藤乃めい

Author:藤乃めい
ロンドン在住の自称☆ヘタレ甘々ほもえろ字書き(兼エッセイ&レビュー書き)。別名=ましゅまろんどん。

2008年秋より、出向で六本木に島流し中。

純愛☆官能大河ドラマ『春を抱いていた』をこよなく、果てしなく愛してます(笑)。岩城さん至上主義。寝ても醒めても岩城京介氏のことしか考えられず、日常生活に支障が出ることもしばしば(爆)。・・・いや、マジで。

常に人生破綻の危機に怯えつつ、今日も愛の溢れる純文学☆ほもえろ道の探求に精進してます(笑)。

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