●ご存知とは
思いますが、
海老蔵が病気でダウン。
声が出ないのでは、しょうがない。
悔しいだろうけど、本当にしょうがない。
7月公演の一部には代役がたち、一部は中止になっているようです。
ご本人がどれだけ無念かは、いうまでもない。
6歳の息子をひとり、舞台に送り出すことになろうとは。
海老蔵も、想像だにしなかったでしょう。
どんだけ不本意か。
焦っても、しょうがない。
焦るなというほうが無理だろうけど、治すしかない。
早い回復を祈ります。
思ったことが、三つあります。
ひとつには、
海老蔵ほどの多忙な人間が、ひとり親をやっているという事実。
どう考えても無理がある。
体力ありまくりの41歳だから、かろうじて、今までやってこれた。
ぶっ倒れずに、ここまでは来た。
でも、限界だよね。
それをあらためて、認識しました。
日本中でほぼいちばん、忙しい
歌舞伎役者だ。
それが、シングルファーザーをやってるわけです。
もちろん、天下の成田屋です。
お母さんもいるし、妹もいるし、亡き麻央ちゃんのご両親もいる。
お弟子さんもたくさんいるし、なんならお手伝いさんもいる。
誰もが全力で、彼をサポートしているはずです。
でも、小さな子供の親の代わりにはなれない。
ふたりのまだ小さな子供。
お母さんをなくしてしまった子供。
あたりまえですが、親の愛情が、手間が必要です。
抱きしめてあげるあたたかい腕が必要です。
それを、
海老蔵は独りでやってる。
お父さんとお母さんを両方やってる。
ぶっちゃけ、麻央ちゃんが入院してるころから、ずっとです。
その重要な仕事だけは、誰にも代われません。
奥さんは、単なる奥さん(お母さん)ではない。
歌舞伎の世界では、じつに重要な働き手です。
来年は、
團十郎の襲名がある。
勸玄くんは同時に、新之助を名乗る。
襲名披露の準備だけで、本当は手一杯のはずです。
おまけに来年は、オリンピックがあります。
海老蔵はそこでも、重要な役目を果たす。
そういうときに、伴侶がいないのは辛い。
本当に辛い。
精神的にはむろんですが、実際に、手痛いはずです。
海老蔵にとって安らげる、甘えられる人がいないのは辛い。
海老蔵を支える大きな存在がいないのが、辛い。
・・・わたしは、麻央ちゃんが大好きでしたので、ね。
はやく再婚しろよ、といってるわけじゃありません。
彼女を責める?変な人もいるけど、お門違いも甚だしい。
でも、誰かがいてくれたら、と。
そう願わずにはいられません。
海老蔵が最近、
歌舞伎俳優の 「働きかた改革」 をいってるでしょう?
あれ、本当に必要だと思うよ。
奥さんがいても、必要です。
いないなら、なおさら。
ふたつめ。
市川海老蔵 休演のお詫びとお知らせ歌舞伎座「七月大歌舞伎」7月16日(火)公演についてのお知らせ歌舞伎座「七月大歌舞伎」7月17日(水)以降の公演についてのお知らせ歌舞伎俳優が、病気や怪我で休演を余儀なくされるとき。
あんまり芸能ニュースでは語られないけど、ルールがあります。
※わたしの情報がもし古かったらごめん。
舞台に穴をあけるというのは、もちろん、彼らにとっては最悪の事態です。
たいていは強い薬や注射を打ってでも、必死に舞台に出続けます。
ただ、それでも、ダメはときはダメだ。
たいていの場合は、その月の芝居に出演している誰かに代役を頼みます。
歌舞伎の場合は、伝統的なレパートリーが多いでしょう?
だから、急に代役を頼まれても、その役を演じたことのある俳優がいる、ものです。
必ずいるとはいえないけど、たいていはね。
有名な役なら、そもそも台詞を覚えているケースも多い。
だから、いきなりの代役が成り立ちます。
(稽古も見ているので、その役者独特のアレンジとかにも、ある程度なじみがあります。)
ただ、問題は衣装です。
いや、むしろカツラかなあ。
衣装やかつらは、その月の公演のために、その役者ごとにぴったりと調整します。
新調するにしろ、そうでないにしろ、完全なオーダーメイドです。
特にかつらは、まあ、他の人のものは使えない。
つまり 「明日から ×× のお役を引き受けてね!」 といわれると、あれだよ。
床山さんも、衣装さんも、もちろん代役の役者の付き人や部屋子たちも、まず眠れない。
不眠不休で、急ごしらえの準備をします。
代役の相手方をつとめる役者も、たぶん深夜まで、急な稽古につきあう。
大変なことらしいですよ。
なので、休演はだいたい3日ごと、だと聞いています。
一度お願いしたら、少なくとも3日間は代役をやっていただく。
その間に治れば、頭を下げて4日後からは復帰する。
無理そうなら、さらに3日おねがいする。
海老蔵の場合でいうと、15日から17日までがお休み。
18日から復帰の予定。
演目を見ると、伝統的な 「素襖落」(すおうおとし) には代役に右團次さん。
「外郎売」(ういろううり) には、聞くところによると、市川新蔵が代役・・・いや、ちがうなあ。
成田屋の番頭さんみたいな(亡き
團十郎の)お弟子さんですよね。
ちがってたらすまん。
彼は外郎売の役をやったわけではなくて、
勸玄くんの舞台での付き添いかな。
※ごめん、確かな情報は今のところ見つかりません。
教えてほしい・・・(笑)。
口上は梅玉(ばいぎょく)さんが代わりにつとめたというから、そこかな・・・?
夜の部は、運が悪くというべきか、海老蔵の13役早変わりです。
ほぼ、彼のオリジナル。
これには代役を立てようがない。
いや、お弟子さんの中には誰か、できる人がいるかもしれませんよ?
台詞とお芝居の動きだけならね。
だけど上記のとおり、海老蔵用にしつらえたすべての衣装とかつら。
こればっかりは、代わりは立てられないでしょうね。
つか、海老蔵以外の誰が演じようと、お客様は納得しないでしょう。
アンダースタディではお金はとれない。
海老蔵を見にいく、芝居ですもの。
みっつめ。
海老蔵と「外郎売」は、なんか、相性が悪いんじゃなかろうか。
不吉な因縁があるんじゃ?
ふと、そう思ったわたしです。
なぜか?
もう10年近くも前だけど、こういういきさつがあるからです。
海老蔵代役「片岡愛之助」評判!「こっちの方がいいんじゃない?」ええ、あれです。
若き日の海老蔵の、例のやらかし。
殴られて、謹慎処分。
(よく考えると、暴力沙汰の被害者なのに、いやまあ叩かれたよね、ほんと。)
あのとき海老蔵が舞台に開けた穴を埋めたのが、愛ちゃんでした。
演目はもちろん、外郎売。
これをきっかけに
愛之助はブレイクを果たし、やがて「
半沢直樹」の出演につながった。
なつかしい。
(^~^;)
●ともあれ
海老蔵の復活を、心より祈る次第です。
かけがえのない存在です。
海老蔵ね。
成田屋もね。
長生きしてほしい。
では、またね。。。