あの日の記憶

●9月11日

10年前。

八ヶ岳のホテルにいました。

ロンドンから半年ほど、帰省している間の出来事。

深夜、とても現実のこととは思えないTV画像を、ボリュームを絞ってずっとずっと見ていました。

怖いとは、その時点では思えなかった。

あまりに・・・ハリウッドのパニック映画みたいで、リアリティが乏しくて。

しばらくして、それが本当に起きているのだと認識した途端に、鳥肌が立ちました。

友人、知人が何人も、あのビルにいるはずだったから。

口をあんぐり開けてテレビを見ていた自分に、失望しました。

その後・・・何日も経ってから。

運命のあのビルの80階?60階?あたりのオフィスで働いていた日系人の旧友とは、連絡が取れました。

一時期かなり親しく、NYに行くたびに泊めてもらうほどだったので、心からほっとしました。

彼女の人生は、それ以降まったく別の、思いもかけない方向に行ってしまいましたけど。

ほかの知り合いの消息も、なんとかわかりました。

ひとり、元同僚の旦那さんだけが、いまだに行方がわかっていない。

伴侶が亡くなるよりも辛いことが世の中にはあるのだと、思うばかりです。



●3月11日

あれから半年。

被災者ではないけれど、それでも酷く影響を受けた(受け続けている)者として。

放射能の見えない恐怖だけでなく、あの揺れを実際に体験した以上、部外者ではないと思う。

いまだに、その中途半端な立ち位置を決めかねています。

西のどこかで、放射能の拡散という根拠のない中傷から、東北の物産展が中止されたなどと聞くと、正直なところはらわたが煮えくりかえります。

アホな発言をして大臣を辞したあのオッサンと、同じレベル。

要するに「ひとごと」なんだな、と思いました。

「放射線が検出されたから」中止するというのなら、わかりもしようものを。

風評の残酷さ。

そこで、ふと、思い出したことがあります。

今からずっとずっと昔、たぶん小学4年生か、5年生の頃のこと。

わたしのクラスに、転校生が来ました。

広島からの転校生。

クラスメートのほとんどにとっては、生まれて初めて遭遇するヒロシマの人間でした。

彼・・・言われたよ。

転校生をよく思わない男の子たちが、何人かいて。

おそらく今現在、福島から転校した子供たちが、言われているであろうようなこと。

(今となっては猛省すべき愚かしさですが、多くの児童にとって、それは「からかい」の範疇でした。・・・言い訳になりませんけどね。)

でも、そこが面白いところなんですが、まもなく彼は、クラスで一番の人気者になったんです。

とにかく彼は冷静で、頭がよかった。

見事に論理武装して、いじめっ子に対峙した。

もしかしたら、「広島からの転校生」がどういう扱いを受けるか、そのリスクを見越した上で、ご両親が対策を練っていたのかもしれない・・・と、今なら思います。

おまけにクラスで一番か二番に背が高くて、足が速かった。

被爆した祖父母のことを誇らしげに語る彼に、正直みんな感動したのです。

みんな、「ガラスのうさぎ」や「はだしのゲン」を読んでいた頃でしたので、かなり衝撃的だったせいか、その彼のことは今でもよく覚えています。

6年生になる頃には、彼は学級委員になってました。

運動会のヒーローで、女の子の目がハートでした(笑)。

強かったなあ。

彼個人の魅力もあったんでしょうが、その強靭な精神力には脱帽です。

それから、周囲の子供たちの柔軟さ、も。

(自分がそうだったから、手前味噌で言うわけじゃないですよ・・・?)

幼いゆえの残酷さもある一方で、幼いからこそ、ころりと考えを変えて受容することもできる。

一度は排除されかけた方も、それを水に流して一緒に遊ぶようになる。

子供の世界のこと―――でしょうか。

大人の社会の縮図でもあるような、そんなふうに思ったりもします。

そうあってほしいという、願望かもしれませんが。



【12/09/2011 02:13】 社会・時事ニュース | Comments (0)
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プロフィール

藤乃めい

Author:藤乃めい
ロンドン在住の自称☆ヘタレ甘々ほもえろ字書き(兼エッセイ&レビュー書き)。別名=ましゅまろんどん。

2008年秋より、出向で六本木に島流し中。

純愛☆官能大河ドラマ『春を抱いていた』をこよなく、果てしなく愛してます(笑)。岩城さん至上主義。寝ても醒めても岩城京介氏のことしか考えられず、日常生活に支障が出ることもしばしば(爆)。・・・いや、マジで。

常に人生破綻の危機に怯えつつ、今日も愛の溢れる純文学☆ほもえろ道の探求に精進してます(笑)。

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