Scotland decides (Update 5)

●結局、

大山鳴動して、ねずみ一匹・・・?

スコットランド独立住民投票 開票結果

Scottish referendum: Queen urges referendum 'respect'

いやいやいや、そんなことはありません。

キーワードは、Devolution。

地方分権という意味ですが、この20年ほどの間に、イギリスはずいぶんと変わりました。

※ここでいう「イギリス」は、4か国すべてを含む「英連邦」という意味ってことで。

中央集権国家から、よりゆるやかな連邦へ。

北アイルランドの和平とも繋がってくるけど、

「政治権力をホワイトホール(=日本でいう霞が関)から、地方へ」

という機運が高まり、徐々に徐々に、パワーバランスが変わって行きました。

民族自治、ですね。

北アイルランドのテロリズムの終焉は、「権力の移譲」と引き換えだった。

地元の人たちを信頼し、政権を任せることによってのみ、平和はもたらされたと言っていい。


で、そういうことを連邦の一部で認めると、

「じゃあ、うちらは?」

と言いだす人たちが増えてくるのは当然でしょう。

スコットランドも、ウェールズも。

もちろん政治的にいろいろ経た後ですが、今ではある程度の自治を獲得しています。

といっても、その度合いは結構ちがう。

歴史的背景とか経済規模とか国民性とか。

ものすごーくいろんな事情がありますが、スコットランドはもっとも独立性が高いのですね。

実際にスコットランド議会があり、スコットランド国会議員がいる。

税制(制限つき)や教育制度もちがうし、司法制度なんかホントにまったくちがう。

紙幣を発行する権利も、スコットランドは持っている。


こうなると、独立を志すひとが増えるのも道理です。

そもそもスコットランドは、イングランドに併合されて300年あまりしか経っていない。

それも軍事的に敗北した挙句、やむを得ずにそうなった。

「いつか、再び独立した国家に」

という悲願があるのは、あたりまえといえばあたりまえなのです。


だけど、ご存知のとおり、その300年は大きいのよ。

迫害されたり差別されたり、ずいぶんと悲惨な目にも遭ったことでしょう。

でもそれから、イギリスの近代化は始まった。

近代国家の概念も生まれ、世界は大きく変わりました。

イギリスといえば、産業革命。

それを牽引した、アレクサンダー・グラハム・ベル。

電話を発明したおじさんですね。

蒸気機関を発明したジェイムズ・ワット。

経済学者のアダム・スミス。

他にもあるけど、この辺みんなスコットランド人なんですよ。

そういえば、日本に来たトーマス・グラバーもスコットランド出身ですね。

日本人が、「イギリスのもの」だと認識しているスコッチウィスキーや、タータンチェック。

ショートブレッドや、バグパイプ。

どれも、実はスコットランド由来のもの。

シャーロック・ホームズを産んだアーサー・コナン・ドイル。

「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」を書いたスティーブンソン。

彼らもみんな、スコットランド人です。

・・・と書くとわかると思いますが。

この300年あまりの間に、スコットランドはグレイト・ブリテンと不可分な存在になった。

(と、わたしは思っています。)

スコティッシュである、というアイデンティティは失われていない。

強烈な民族意識は健在です。

だけど現実的には、イギリスの一部だよね、という。

たとえば>>

スコットランド出身で、めっちゃくちゃ頭のきれる秀才がいたとして。

その人はエジンバラ大学を首席で卒業して、スコットランド議会を目指すのか・・・?

というと、さて。

中にはそういう人もいるでしょうし、ひとっ飛びに海外に留学したりするかもしれない。

でもおおむね、そういう人はさ、オックスフォードやケンブリッジに行くのよ。

世界最高レベルの教育機関が、「同じ国」の中にあるんだものね。

で、ロンドンで就職するわけです。

ホワイトホール官僚になるもよし、シティで弁護士になるもよし、大企業に勤めるもよし。

そういうひとを、何十人と(もしかしたらもっと)知っています。

感情と、現実。

建て前と本音。

ありますよね。


これはわたしの憶測でしかないけど、もし本当に、スコットランドが独立したら・・・?

(ある日突然、というわけはないので、そうなったら何年も準備期間があるでしょう。)

そうしたらきっとね、富裕層の多くは、イングランドにそっと移ると思う。

もちろん、みんなそうだってわけじゃない。

祖国への誇りや情熱、先祖や親戚とのつながりは大事だから。

だけど、利己的だとそしられようと、結局は自分と家族が優先するんじゃないかなあ。

自分の仕事やこどもたちの教育のために、どこに住むのがいちばんいいか。

グローバル経済の一端を担うロンドンという大都市が、「隣りの国の首都」になっていいのか。

それでこうむる不利益はないのか。

そう考えるのは、自然ではないかと思います。


今回の、国民投票の結果。

Scottish independence referendum in maps

当初から予想されていたとおりの特徴が見られます。

独立反対をつよく表明したのは、おおむね、比較的お金にゆとりのある人たちが住むエリア。

ただし高齢化に晒されていることが多い。

独立にYES票を投じた選挙区は、失業率が高く、平均所得も低い傾向にある。

そして、若年人口が高いのも特徴かな。

※いたずらな偏見や差別ではなく、英国マスコミの報道もだいたいこういう分析をしています。

失うものの多いひとたちと、失うものを持たないひとたち。

そういう構図が見えてきます。





●で、

今後ですね。

スコットランド自治政府のアレックス・サモンド首相が、まさかの辞任。

(Scottish National Partyの党首で、独立推進派のリーダーです。)

当面は、後継者選びが焦点になりますね。

そのあとが問題です。

「独立しないんだから、現状維持でしょ?」

・・・ではない、みたいね。

Further devolution、つまりさらなる権力の移譲。

各党ともこれを公約してしまったので、急ピッチで改革案をつくらなくてはいけない。

税制と、あとは社会保障なのかな。

この辺が議論になりそうです。


そしてもうひとつ、もっとむずかしい問題。

最大の難関かも。

スコットランドは、さらなる自治を推し進める。

ウェールズも北アイルランドも、ある程度は自分たちで政治をするようになっている。

となると、

「ちょっと待って。なにか忘れてない?」

という声が、ふたたび上がるのは避けられない。

誰って?

そりゃあもちろん、イングランドです。

英連邦といいながら、よく考えてみると、イングランド独自の議会は存在しない。

(あたりまえですが、日本でいう都道府県、市町村単位の自治体はありますよ。)

ウェストミンスターにある、かの有名な国会議事堂。

ビッグベンのそびえる、あれです(笑)。

あそこに集まる国会議員は、「全国から」選出されてきます。

全国っていうのはつまり、スコットランドやウェールズも含まれる。

今までは、それでなんの問題もなかった。

でもさ?

さらに地方分権がすすんで、スコットランドの内政はエジンバラの議会で。

ウェールズの内政は、首都カーディフの議会で。

それぞれ議決されるようになるわけです。

となると、ウェストミンスターで議論される法案も、イングランドの内政に関することが多くなる。

「ちょっと待って」

は、ここから湧きあがります。

イングランド人は、もはやスコットランドの内政にかかわらない。それなのに、なんでスコットランド選出の国会議員が、イングランドのみにかかわる法案の議論に参加し、投票するわけ?」

おかしいでしょ、というわけです。

地方分権というのなら、イングランドにはイングランド議会を”

という主張は、理屈が通っています。

でも、ねー。

今までずっとウェストミンスターで事足りていたのに、あらたに、別の議会をつくる・・・?

これは大変な命題です。

何百年もの歴史を塗り替えるわけだから、一朝一夕には決められない。

イングランド議会。

誰が、どこで、何をするのか。

それが出来たあとのウェストミンスターはどうなる???

軍事や外交のみ、とりあつかう議会になるのか。

ウェストミンスターとイングランド議会の線引きなんかできるのか。

(何百年も、ウェストミンスター=イングランド議会だったわけだから。)

これは政治の枠組みを、ガラリと変えることになります。

別の言いかたをすると、

「憲法を抜本的に改正する」

ことになる。

・・・ね?

大変でしょう?

スコットランドの国民投票は、ここまでの影響があったわけです。

イギリスの政治が大きく変わるかもしれない。

これから数年はきっと、ものすごいことになるでしょうね。





●以上、

うだうだと私見を書いてみました。

じゃね。。。


【20/09/2014 03:53】 社会・時事ニュース | Comments (0)
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藤乃めい

Author:藤乃めい
ロンドン在住の自称☆ヘタレ甘々ほもえろ字書き(兼エッセイ&レビュー書き)。別名=ましゅまろんどん。

2008年秋より、出向で六本木に島流し中。

純愛☆官能大河ドラマ『春を抱いていた』をこよなく、果てしなく愛してます(笑)。岩城さん至上主義。寝ても醒めても岩城京介氏のことしか考えられず、日常生活に支障が出ることもしばしば(爆)。・・・いや、マジで。

常に人生破綻の危機に怯えつつ、今日も愛の溢れる純文学☆ほもえろ道の探求に精進してます(笑)。

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