歌舞伎ネタ 九月~十二月

●いよいよ

11月に、海老蔵の息子が初舞台ですってね。

勸玄(かんげん)くん、2歳。

吉例顔見世大歌舞伎 十一世市川團十郎五十年祭

・・・あ、ごめんなさい。

間違えました。

「初舞台」ってのは、ちゃんと芝居に出演することだわね。

役名もつくし、台詞のひとつやふたつも言うのがふつう。

今回は “ご挨拶するだけ” みたいだから、「初御目見え」なんですね。


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菊五郎と仁左衛門のダブル人間国宝に並んで、って。

いや待て。

藤十郎さんもいるので、トリプル人間国宝ですね。

すげー。

なんという贅沢なメンツ。

お披露目で、ひとこと挨拶ぐらいするんだろうか・・・?

抱っこされて登場するだけ、かな。

(いくら何でも2歳ではどういう行動をとるか予測できないし、制御もしづらいものね。)


なんつうか、あれだ。

天下の成田屋の御曹司ともなると、本当に生まれたときから別格やね。

わずか2歳の幼児の登場に、この晴れがましさ。

普通じゃありえない、気がする。

こんなド派手な御目見え、およそ最近では記憶にないような。

十一世團十郎(海老蔵の祖父)の五十年祭とはいえ、まさに特別扱い。

歌舞伎の世界のヒエラルキーがくっきり見える、って気がします。

(別にそれを批判してるわけじゃないですよ。)


もっとも、それは大仰な考えかもしれない。

シンプルに考えればね?

大幹部のジイサマ方(失礼)が、盛大に後押しするのも当然です。

興行的な部分を差っ引いても、故團十郎(十二世、海老蔵の父)は彼らの親しい仲間です。

その遺志を継ぐ息子や孫に、手を貸さずにはいられないだろうと思う。

いくら大名跡の跡取りといっても、勸玄くんはほんの2歳。

その父親の海老蔵にしたって、まだ40歳にもならない。

やっと「若手」クラスから抜け出しつつあるくらい。

この若さで、後ろ盾たるべき十二世團十郎を失っているのは、ほんとうに痛い。

歌舞伎の世界では、父親の存在って本当に大きいんですよね。

それがすべて、みたいな部分もある。

父親は師匠であり先輩であり、かつ上司。

指導者であるばかりか、自分を引き立て仕事を振ってくれるプロデューサーでもある。

狭い社会の濃い人間関係の中で上手くやっていくための知恵袋、でもある。

(その点に関しては母親=團十郎の未亡人の存在は大きい。)

人気も影響力もあるベテラン役者を父に持つことが、どれだけキャリアを左右するか。

世襲の世界ならではの価値観かもしれませんけどね。

そういう意味で、海老蔵

ふてぶてしく見えるかもしれないけど、彼はけっこう大変なのよね。

父親(勸玄くんにとっては祖父)がいないデメリットは計り知れない。

(もっとマイナーなお家だったら、片隅に押しやられてロクな役をもらえなくなる可能性だってある。頼りになる後ろ盾がいないせいでキャリアが宙ぶらりん、停滞してる役者さんも少なくない。)


おまけに海老蔵は真にひとりだ。

兄弟もいないし、力になってくれる伯父・叔父もいない。

歌舞伎界に、という意味ね。)

文字通り、たった独りで「成田屋」を守っている。

同じ「市川」を名乗っていても、たとえば左團次さんの屋号は高島屋。

(海老蔵が最近チームに引き込んだ九團次も、弟子筋なのでおなじく高島屋。)

猿之助や中車はもちろん、澤瀉屋(おもだかや)。

成田屋はいない。

「成田屋」=市川宗家はホントに團十郎、海老蔵、新之助だけ。

そのうち團十郎と新之助は目下、空席だからねえ。

(市川宗家は江戸歌舞伎の代表であり代名詞であり花であり、なんというか、象徴なのです。)

どんだけ孤独なの、って思う。

寂しいだろうし、怖いだろうと思う。

縁起でもない話だけど、今の海老蔵になにかあったら、成田屋は消滅してしまう。

そのくらい、怖い話なのです。

(そういう場合でも、いずれは他家から養子を迎えて復活するもの。・・・いや、そんな事態にならないことを祈るけど。)


そう考えるとますます、團十郎は無念だったろうなあ。

あと数ヶ月ながく生きていてくれたら、少なくとも孫息子に会えた。

(男児であることも、勸玄という名前がつくことも知ってはいたようです。)

本当に残念だった。

(と、まるっきり赤の他人の自分ですら思う。)

海老蔵を独り残して逝ってしまうのは、不本意だったでしょう。

その無念さを、菊五郎さんたちは痛いほどわかってる。

仁左衛門も藤十郎も、孫たちと元気に舞台に立っていますからね。

その幸せと充実を知っていればいるほど、團十郎の無念は胸に迫るものがあるのでは。

菊五郎さんはまだだけど、もうすぐでしょう。

(嫡孫=菊之助の長男がこの秋に2歳になるので、来年あたりには初舞台かと。)

孫との共演。

それは、おじいちゃんのエゴというばかりじゃない。

後継者に無事にバトンを渡す、という意味合いが強い。

責任を果たす、という感じでしょうか。

仁左衛門もよく、名跡は預かるもので、大事に守って次の世代に渡すものだと言ってます。)

それをしたくてもできなかった團十郎。

彼への愛惜があったればこその、今回のお披露目出演だろうと思います。


もっとも>>

きわめて個人的な想像ですが、團十郎自身はそこまで悲観していなかったかも、と思う。

ある程度の達成感もあったのでは、と思う(思いたい)。

いや、そりゃあ、生きてやりたいことは多々あったでしょう。

でも、あれだけの大病をして、手術を重ねて、それでも何度も舞台に蘇ってきた。

不屈の闘志がなければ、ああは行かなかったと思う。

そのパワーの源は、彼自身が若くして父親(十一世團十郎)を亡くしていることです。

たしか20歳前だったか。

きっちり家の芸を教わらないうちに父親に逝かれ、彼がどれほど苦労したか。

―――というのは有名な話です。

だからこそ彼は、なんとしてでも生きようと必死だったと思う。

一日でも長く生きて、なるたけ舞台に立ち、海老蔵に稽古をつけることに没頭した。

白血病に冒されながらも、海老蔵が30代の半ばになるまで親父の背中を見せ続けた。

壮絶な生きざまであったと思います。

それなのにファンや家族があまり悲壮感を感じなかった(らしい)のは、実は凄いことなのだと思う。

みんな彼の大きさ、あたたかさを記憶してるんだよね。

あの独特の声で呵呵と大笑する、スケールの大きな役者のイメージ。

それは一重に、彼のひそかな達成感(理想ではないにせよ)の裏返しなのかもしれません。

俺はここまでやったぞ、的な。

なんとなくね。


勸玄くんもホント、大変な星のもとに生まれたよなあ。

果てしなく恵まれているけど、それは同時に比類なきプレッシャーでもある。

長じていずれ、海老蔵のように、重責にもがき苦しむ日が来るんだろうか。

その日がなるべく遅く来ることを祈ります。







●そして

九月の歌舞伎座、幕が開きました。

松竹創業120周年 秀山祭九月大歌舞伎

平成27年9月2日(水)~26日(土)


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出し物がホントいいよなあ。

あああ行きたい(笑)。


歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」初日開幕


ちなみに、特別ポスターも必見です。


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吉右衛門さんも玉さまもかっこええ。

うっとり。







●恒例の

永楽館歌舞伎は、こちら。


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出石永楽館 第八回 永楽館歌舞伎

平成27年11月4日(水)~10日(火)

http://www.izushi-tmo.com/eirakukan/

演目と配役

この公演はホント、愛ちゃん頑張ってるからなあ。

今年は演目も目新しいし、襲名したばかりの鴈治郎も参加してくれる。

いい公演になるのではないかと思います。

11月3日にはお練りも。







松也・・・

マスコミ露出、ほんと増えたよなあ。

いいことだと思う。

(ところでその契機になったのは、やっぱり、例の彼女とのつき合い・・・なんだろうか?)

舞台上でもけっこういい役がつき始めているので、ノッてるのだと思います。

音羽屋でも推してる感があるし。

にしても、まさか。

TVで冠番組を持つなんて、ね。

新番組「尾上松也の古地図で謎解き!日本探究」10月スタート

尾上松也の古地図で謎解き!にっぽん探究

しかも、内容がちょっと面白そうなのが悔しい(笑)。

尾上右近、板東巳之助、中村隼人などの若手俳優も順次、登場するそうです。

この顔ぶれもニクイ。

松也って、ブレイク間近の若手メンバーの兄貴分なんですよね。

(松也が30歳、あとは全部20代。)

お互いのブログにもよく登場してるので、仲がいいんだろうな。

そういう一面を見られるのも、こういう番組の面白さかも。

松也自身に萌えは感じないんだけど(笑)、けっこう楽しみです。







●最後に!

十二月の風物詩。

京都南座の顔見世興行、発表になりました!


京都四條南座

松竹創業120周年 京の年中行事
當る申歳 吉例顔見世興行
東西合同大歌舞伎
四代目中村鴈治郎襲名披露


平成27年11月30日(月)~12月26日(土)


昼の部

第一
玩辞楼十二曲の内 碁盤太平記(ごばんたいへいき)
山科閑居の場

大石内蔵助     扇 雀
下僕岡平実は高村逸平太     愛之助
大石主税     壱太郎
大石妻およし     孝太郎
大石母千寿     東 蔵

第二
義経千本桜
吉野山(よしのやま)

佐藤忠信実は源九郎狐     橋之助
静御前     藤十郎

第三
心中天網島
玩辞楼十二曲の内 河庄(かわしょう)

紙屋治兵衛     翫雀改め鴈治郎
紀の国屋小春     時 蔵
江戸屋太兵衛     愛之助
五貫屋善六     亀 鶴
河内屋お庄     秀太郎
粉屋孫右衛門     梅 玉

第四
新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)

叡山の僧智籌実は土蜘の精     仁左衛門
平井保昌     左團次
侍女胡蝶     孝太郎
渡辺源次綱     進之介
巫子榊     梅 枝
番卒藤内     愛之助
番卒次郎     橋之助
番卒太郎     扇 雀
源頼光     梅 玉


夜の部

第一
信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまかっせん)
 輝虎配膳

長尾輝虎     梅 玉
勘助妻お勝     時 蔵
直江山城守     橋之助
直江妻唐衣     扇 雀
勘助母越路     秀太郎

第二
四代目中村鴈治郎襲名披露 口上(こうじょう)

翫雀改め鴈治郎
幹部俳優出演

第三
玩辞楼十二曲の内 土屋主税(つちやちから)

土屋主税     翫雀改め鴈治郎
侍女お園     孝太郎
落合其月     亀 鶴
河瀬六弥     梅 枝
晋其角     左團次
大高源吾     仁左衛門

第四
歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

武蔵坊弁慶     海老蔵
源義経     壱太郎
富樫左衛門     愛之助

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kyoto/2015/11/post_46-ProgramAndCast.html


いやあ、さてさて。

このラインアップのポイントは・・・えっと。

あくまで個人的、わたし的な第一印象を。



めっちゃくちゃ久しぶりに、孝夫ちゃんと愛ちゃんの共演が見られる!

嬉しい!(笑)

なんかもう、いつぶりだか憶えてないくらい。

一年、いや二年ちかく、まともに同じ舞台に立っていなかったような気が。

それ以前は巡業も含めてべったりご一緒のことが多かったので、ひそかに気にしてました。

いやあ、なんかホッとした。

(ほっとした、のほうが本音かも。)

ちなみに仁左衛門の「土蜘蛛」は、見たことない。

いいなあ。



橋之助と藤十郎さんの「吉野山」。

めずらしい取り合わせだなあ、と感じた。



孝夫ちゃんと左團次さんも、久しぶりのような・・・?

よく覚えてないけど(汗)。



おいおい、地味に海老蔵がいるじゃないか!(笑)

いや、彼に限っては、地味な登場なんかあり得ないですね。

夜の部の最後にしれっと、そろっと、「勧進帳」が入ってるじゃないの。

対する富樫に愛之助って、どういうご褒美なの!?

愛ちゃん、美味しいところもらったなあ。

なんかもうね、この配役だけでお腹いっぱい(笑)。



孝太郎もけっこういい役回り。

これはまあ、驚きはない。

ついでにいうと、イトコの進之介。

孝夫ちゃんの長兄、我當さんの長男ですね。

「土蜘蛛」に出るようですが、ホントにこの人はよくわからない。

一年にほんの一度か二度、(ほとんど)関西で歌舞伎の舞台に立つけど、

「それ以外の時間はいったい何をしているんだろう・・・???」

長年の謎です。

うーむ。

世が世なら、仁左衛門を襲名する可能性もあったはずの人なんだけど、なんとも不思議。

私生活を根掘り葉掘りしたいわけじゃ、ないんですよ。

事情があるならそれでいい。

なにも知らないから、なんとなく気になってね・・・(汗)。







●というわけで

では、またね。。。


【06/09/2015 03:48】 歌舞伎2013~ | Comments (0)
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藤乃めい

Author:藤乃めい
ロンドン在住の自称☆ヘタレ甘々ほもえろ字書き(兼エッセイ&レビュー書き)。別名=ましゅまろんどん。

2008年秋より、出向で六本木に島流し中。

純愛☆官能大河ドラマ『春を抱いていた』をこよなく、果てしなく愛してます(笑)。岩城さん至上主義。寝ても醒めても岩城京介氏のことしか考えられず、日常生活に支障が出ることもしばしば(爆)。・・・いや、マジで。

常に人生破綻の危機に怯えつつ、今日も愛の溢れる純文学☆ほもえろ道の探求に精進してます(笑)。

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