歌舞伎あれこれ

☆本日2本目の記事だよ☆



●孝夫ちゃん

もとい、十五代片岡仁左衛門丈。

かたおかにざえもんサマ。

屋号は、松嶋屋。

(ちなみに「松島屋」という屋号もありますが、これは同じ片岡でも、弟子筋の役者につかわれます。)

歌舞伎界きっての色男。

ジイサマでしょって?

いや、まあ、そこはね・・・(汗)。

年齢的に否定はできませんが(71歳)、舞台の上では今でもサイコーの色男だよ。

ホントに。

さて、人間国宝に認定された彼の数ヶ月を追うドキュメンタリーが、「情熱大陸に」。

―――というところまでは、すでに書いたと思います。

うちにはTVがないので、当然ながら見られない。

まあ、そのうちどこかで・・・と思っていたら!


情熱大陸「歌舞伎俳優 片岡仁左衛門」(2015/12/6放送分)


おお!

無料動画GYAO!にありました(笑)。

※配信終了日は2015年12月13日。

※まもなく公開終了ですので、視聴はお早めに。



ふひひ。

いいねえ、孝夫ちゃん。

色っぽくてかわいい。

女性ファンはおおむね、彼を「孝夫ちゃん」呼ばわりします。

ながーいこと、「片岡孝夫」という本名で過ごしてきましたからね。

(はるか年下のわたしがそう呼ぶのはおこがましいのですが、ファンの愛情ゆえですので、どうぞ見逃してね。)

(もちろん、ご本人を前にしてそうは呼びません。)

だから孝夫ちゃん。

じっさい初舞台から50歳をすこし超えるまで、ずーっと「孝夫」で通してきました。

これは歌舞伎役者としては、非常に珍しいことです。

(というか、他の例を知らないよ。)

たしかにまあ、三男坊ですけど。

松嶋屋は古く大きな名跡で、継がせる名前の「空き」はいくらでもあった。

(ちょうどよい名跡がないのであれば、いくらでも新たにつくることができますし。)

由緒のある名前を襲うことは、役者として認められた証拠でもあります。

それナシで、半世紀。

きわめて珍しい事態でした。

なんでこうなった?

公式な理由というのを聞いたことがないので、以下は憶測です。


①関西歌舞伎で食って行けず、やむなく上京。

その当時はね、東京ではまるで無名で、大変な苦労をしたそうですよ。

関西では「松嶋屋の御曹司」でも、お江戸ではタダの人。

ロクに後ろ盾もない若い役者ひとり。

今じゃ想像もつかないけど、関西と関東、そのくらいの意識の断絶があったんですね。

名跡の「格」から言ったらあり得ないような端役でも、台詞がなくても、甘んじて仕事を受けていたらしい。

食っていくために、家族を食わせるために、何でもやったそうです。

屈辱的なこともいっぱいあったことでしょう。

そういう下積み時代に、松嶋屋の名跡を使いたくなかったんじゃないかなあ。

(父親である先代の仁左衛門が使わせなかった、ということかもしれない。)

(いいかたは悪いけど)東京の "その他大勢" 役者に、歴史も由緒もある関西の大名跡を名乗らせたくない。

名前に傷がつくとか、もったいないとか。

そんな心理があったんじゃないかと思います。


ちなみに>>

そんな不遇の時代ですが、味方もいました。

守田勘弥や先代の中村勘三郎は若い孝夫ちゃんを可愛がり、いろいろ面倒を見てくれだそうです。

彼らの庇護と後見がなかったら、今の彼はいない。

守田勘弥というのは、玉さまの養父です。

先代勘三郎はもちろん、このあいだ亡くなった勘ちゃんの父親。

孝夫ちゃんが玉さまや勘ちゃんと特別に仲が良いのには、そういう歴史もあるんですね。


②わりと映画やテレビにも出まくってた。

「○○衛門」とか「○○蔵」とか。

いかにも歌舞伎役者っぽい芸名ですよね。

そうじゃないほうが、ふつうの役者に見えるでしょう。

東京で雑多にいろいろ仕事を受ける際に、歌舞伎の色合いの薄い名前のほうが良かったのかな。

・・・っていうのは、穿ちすぎかねえ?


③で、東京でブレイクしちゃった。

無名の新人からスタートして、「顔だけはいい若手」とか呼ばれて。

そろそろオッサンに手が届く年齢になって、孝夫ちゃんが大ブレイク。

そう、やって来たのは、歌舞伎史上でも例のない爆発的なブームでした。

きっかけはもちろん、絶世の美貌を誇る玉三郎のお相手役として。

(美男美女で絵になるだけでなく、背の高い玉三郎と釣り合う長身だったのが幸いしました。)

團十郎(当時は海老蔵)をはじめ、綺羅星のごとき東京のスターを差し置いて、

「孝玉ブーム」

が到来したのよね。

これは本当に凄まじいブームでした。

それまでどれだけ名優がいい演技をしても、歌舞伎座の客席はなかなか埋まらなかった。

(・・・らしいよ。わたしには想像もつかないけど。)

なのに、一般人を巻き込んだ一大センセーションになったのです。

マスコミも大騒ぎ。

孝夫ちゃんも玉さまもひっぱりだこ。

実際そのみーはーな勢いに流れされてファンになったわたしがいうのだから、間違いない(笑)。

(孝玉ブームをおもに牽引してたのは、わたしより10歳も20歳も、あるいはもっと年上のお姉さま方でしたけどね。)

この頃になるとむしろ、「片岡孝夫」自体がブランド化していました。

今さら名前を変える必要もないというか、特徴として、そのままのほうがいい。

そんな計算も働いたのではないか、と思います。


④そして仁左衛門へ。

この頃からなんとな~く、噂はあったように思います。

噂とまではいかないにせよ、ひそかに膨らむ期待というか、憶測というか。

それはつまり、仁左衛門(=片岡家の当主でもある)襲名の可能性。

彼は三男坊で、立派に役者をつとめるお兄さんがふたり(我當と秀太郎)。

普通に考えたら、孝夫ちゃんにお鉢は回って来ない。

だけど二人とも、通ごのみの脇役タイプ。

確かにいい役者なのですが、人気や知名度では孝夫ちゃんとは勝負にならない。

商業演劇の世界では、客を呼べるかどうかは大きな問題です。

(誤解してる人もいるけど、歌舞伎は世界で唯一、いまだに商業ベースで興行が成り立っている伝統芸能です。)

そして跡継ぎ候補となると、「次の次」も気になります。

我當さん(がとう、長男)の息子の進之介は・・・うむむ。

この人をどう評価すればいいのか。

いちおう歌舞伎役者なんですが、一年にほんの数回しか舞台に出て来ないんだよなあ。

なにか事情があるのかもしれないけど、とにかく影が薄い。

フルタイムで歌舞伎やってない、とでもいうのか。

本来なら将来の仁左衛門候補のはずですが、とてもそうとは考えられない状況なのですよね。

秀太郎さん(ひでたろう、次男)の息子は、養子の愛之助だ。

養子が跡を継げないわけじゃないけど(歌舞伎の世界ではよくある話)、

「(宗家に)実子がいるのなら実子に」

というのは、まあ、素直な感情ではないでしょうか。

(愛之助はちゃんと法律的にも養子ですので、秀太郎さんの跡を継ぐのは間違いない。)

※このへん全部わたしの憶測ですよ。念のため。

その点、孝夫ちゃんには孝太郎(たかたろう)がいます。

中堅の女形として、このところとみに存在感が増して来ました。

(さらに孝太郎にも息子の千之助がいて、もう高校生!)


そして、なにより。

先代(お父さん)にいちばん似てるのが、孝夫ちゃんなんだよね。

先代は、関西でも東京でも名の通った名優だった(人間国宝)。

似てるから跡継ぎになれるわけじゃないけど、風貌も芸風も似てたのは大きいと思う。

そういうわけで、つまり。

いろいろ総合的に判断して、

「ひょっとして、孝夫ちゃんが次の仁左衛門になるのでは・・・?」

という雰囲気になっていったのは否定できません。

このあたりまで来ると、むしろずっと「孝夫」でい続けたのすら、演出のような気がして来る。

演出というのが悪ければ、運命とでも。

「生涯でたった一度の襲名披露が、よりによって仁左衛門!」

これ以上ドラマティックな話もないよね。

事実、そうなりました。


孝夫ちゃんの襲名披露興行にせっせと通った日々を、今も思い出します。

その前に大病をして、彼は生死の境を彷徨った。

生きて舞台に帰って来てくれるのか。

もう一度、会えるのか。

名前なんかどうでもいい、とにかく生きていてほしい、と。

せつに祈った後の、奇跡の復帰でした。

以上。

孝夫ちゃんの話になると止まらない。

すみません(汗)。







●アニメの海老蔵

か、かわいい・・・かな?(汗)



ebizo_konan_1210.jpg



特別ゲストに、歌舞伎役者の市川海老蔵

なんか、すごい扱いですね(笑)。

来年の1月9日と16日、それぞれ1時間スペシャル。

アニメなんぞに興味はないけど、これはちょっと見てみたい。


[市川海老蔵]「名探偵コナン」アフレコ初挑戦の心境語る「不安しかなかった」

「名探偵コナン」TVシリーズ放送20周年記念スペシャル

名探偵コナン (公式サイト)







●そして

芝雀(しばじゃく)さんが、いよいよ雀右衛門(じゃくえもん)へ。

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/436

錚々たる共演者リストがすごい。

あたりまえか。



kabukiza_201603f_118de11123q.jpg



中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露

※襲名演目以外については後日、発表になり次第掲載します。

<三月大歌舞伎>

平成28年3月3日(木)~27日(日)

昼の部

鎌倉三代記(かまくらさんだいき)
絹川村閑居の場

時姫       芝雀改め雀右衛門
佐々木高綱   吉右衛門
三浦之助義村  菊五郎

夜の部

祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)
金閣寺

雪姫       芝雀改め雀右衛門
松永大膳    幸四郎
狩野之介直信  梅玉
此下東吉     仁左衛門
慶寿院尼     藤十郎


人間国宝、昼と夜をあわせて全員・・・なのかな。

田之助さんだけいないのか。

(まだほかの演目が発表になっていないから、そこに田之助さんが出る可能性はあるけど。)

時姫に雪姫。

大変だあ。

中村芝雀さん 五代目雀右衛門を襲名で抱負

芝雀さんはね、端正でたおやかな役者さんです。

ものすごく綺麗だけど、控えめな印象。

格のわりにちょっと影が薄いような気もするけど、それは後ろ盾の有無とか。

一門(屋号は京屋)がちょっと寂しい(人数的に)とか。

そういう問題のような気がします。

お父さんの故・雀右衛門さんも本当にきれいだった。

(歌舞伎座に君臨していた故・歌右衛門の影にかくれて、少し損をしたようなイメージがあります。)


最近で印象に残ってるのは、義経だなあ。

自分撮り - 中村芝雀七世オフィシャルブログ

勧進帳」の舞台。

海老蔵弁慶をつとめ、菊之助が富樫をつとめた。

若いふたりの花形役者を支えたのが、義経役の芝雀。

(義経の役はしばしば女形がつとめます。・・・って、前も書いた気がする。)

主君としての気品と存在感。

(自分を必死に護ろうとする)弁慶たち従者を気遣うまなざし。

難しい役なのですが、なんというか、優美かつ凛とした義経でした。

こういう主君のためだから弁慶たちは命がけなんだなあ、と納得させる演技。

すばらしかったと思います。

興行がうまく行きますように。







●というわけで

では、またね。。。


【11/12/2015 22:50】 歌舞伎2013~ | Comments (1)
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[ 2015/12/12 10:15 ] [ 編集 ]
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藤乃めい

Author:藤乃めい
ロンドン在住の自称☆ヘタレ甘々ほもえろ字書き(兼エッセイ&レビュー書き)。別名=ましゅまろんどん。

2008年秋より、出向で六本木に島流し中。

純愛☆官能大河ドラマ『春を抱いていた』をこよなく、果てしなく愛してます(笑)。岩城さん至上主義。寝ても醒めても岩城京介氏のことしか考えられず、日常生活に支障が出ることもしばしば(爆)。・・・いや、マジで。

常に人生破綻の危機に怯えつつ、今日も愛の溢れる純文学☆ほもえろ道の探求に精進してます(笑)。

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