たけき者も遂には滅びぬ

●金融業界的には

もうね、マグニチュード7.6くらいの激震です。

Lehman Bros files for bankruptcy

NIKKEI NET 広がる米金融不安

金融庁、リーマン証券に業務停止命令 米親会社破綻受け

でも、金融ビジネスに縁のない人にとっては、

「なに? なにが起きたの?」
「なんでみんな、大騒ぎしてるの? わたしに関係あるの?」

って感じかもしれませんね。リーマン・ブラザーズって名前自体、最近まで聞いたこともない人もいたでしょうし。それがいきなり、どのニュースを見てもトップ記事で、世界中が騒ぎしてるんですものね。

えっと・・・ご興味があるかどうか疑問ですが、というかそれ以前に、きちんとわかるようにまとめられるかどうか不明ですが。ちょっとだけ、事情を説明してみようかと思います。このブログでは、「さぶぷらいむ物語」を書いてたけど、あのシリーズ?も未完のままだったので。。。(あんな変な記事でも、続きを読みたいって言ってくださった方がいらして、嬉しかったです)。

※状況をわかりやすくするために、かなり事実を簡略化して書いてます。専門家がお読みになったら、不十分な部分が相当あるかと思いますが、笑って許してくださいね。


●さぶぷらいむ☆おさらい(笑)

「さぶぷらいむ」な人々は、こんな感じです。(舞台はアメリカ。)

Aさん=40代未婚OL。マジメで働き者だけど、派遣労働者なので雇用の安定はない。
Bさん=シングルマザー、パート勤務。両親と同居。元亭主は慰謝料・養育費不払い。
Cさん=製造業だったけど、工場閉鎖で失職。現在バイトを3つ掛け持ちしつつ、定職探し中。

そう、どこにでもいる普通の勤勉な人たち。でもちょっとだけお金に縁がなくて、生活の安定がなく、銀行がお金を貸してくれない事情がある。彼らが夢見るのは、「マイホームを持つこと」。

で、ここにキリギリスさんが登場します。キリギリスさんはAさんたちに、「よしわかった、これで憧れのマイホームを買いなさい」と、ポン!とお金を貸しちゃいます。

・・・善人だから?

いえいえ、とんでもない(笑)。ハイリスク・ハイリターンの、れっきとしたビジネスなんですよね。悪人でもないけど、別に慈悲深いわけでもないんです。彼の計算はこうです。

「みんなマジメに働いてるから、ちょっとずつでも借金は返すだろう。不動産を担保にとるから、返済ができなくなったら、彼らを追い出して家を売ればいい。不動産は今すっごい勢いで値上がりしてるから、どっちにしても俺のお金は返ってくるわけさ♪」

というわけですね。

利子はふつうの銀行より多めに払わなくちゃいけないけど、でもAさんたちにしてみれば、キリギリスさんは恩人ですね(笑)。彼らの返済能力を信じて、たくさんのお金を貸してくれるんですもの。当然、せっせと働いて借金を返すわけです。ええ、マジメですもの。。。

でも、不動産バブル景気は、永遠には続きませんでした。

バブルがはじけて、世の中は景気が悪くなっちゃった。当然、不動産の価値も下がり始めます。で、経済弱者であるAさん、Bさん、Cさんたちは、真っ先に仕事を失うんだよね。。。雇用が安定してない悲しさというのは、こういうときに如実に現れます。

ささやかながら、きちんと払っていたローンはもう払えない。彼らは泣く泣く、憧れのマイホームを手放さなくちゃいけないことになります。一方のキリギリスさんは、Aさんたちを立ち退かせたものの、不動産は思ったような値段で売れなくて、やっぱり収支はマイナス。損失を出しちゃうわけです。事情によっては、キリギリスさん自身が破産しちゃうかも。


●投資銀行って?

で、そ~いうキリギリス悲話(←アメリカ中でこんな話が山ほどあるわけです)と、ニューヨークはウォール街の巨大投資銀行と、どういう関係があるのか?

答えは簡単。リーマン・ブラザーズのような投資銀行は、キリギリスさんみたいな住宅ローンの貸し手から、「ローンを買った」からです。

ローンを買うって、おかしな表現に聞こえるかもしれませんが、キリギリスさんの「資産」はローンなんですよね(笑)。どこが資産なのかというと、貸したお金というのは、言い換えれば、「人からお金を(利子つきで)返してもらう権利」だからです。債権、ってやつですね。

「資産」というと、すぐ目に見える現金とか不動産とかをイメージするけど、実際には、債権みたいな目に見えない資産を、銀行はたくさん持ってるわけですね。(もっとも投資銀行は、ふつ~の銀行じゃないです。どちらかというと、証券会社に近いというか・・・企業相手に、企業の資金繰りやビジネス戦略を助けて、それでアドバイス料を稼ぐ感じです。)

ではなぜ投資銀行は、さぶぷらいむなローンを買ったのか?

そりゃもちろん、それで稼げると思ったからです(笑)。証券化とかヘッジとかね、ありとあらゆる錬金術・・・つうか、彼らの誇る金融テクニックのすべてを駆使して、大量に集めたさぶぷらいむローン(=要するにふつうの住宅ローンよりも返済される確率の低い債権)を、お洒落なパッケージにまとめて、世界中に売りさばいたんですね。

売りは、「だってほら、万が一のときは、不動産を売ればモトは取れるんだから」。







●そんなわけで

今回、たまたま破綻したのはリーマンですが、他の投資銀行も、それ以外の銀行もね、この魔法の金融商品に手を染めたわけです。あんまり質のよくない債権だったはずのさぶぷらいむなローンが、ニューヨークの投資銀行が自信を持っておススメする、最先端の(それも不動産がバックにあるので安全な!)証券になったんですね。

・・・それって、詐欺じゃないのか?(爆)

と思ったあなたは、たぶん本質的に正しい(苦笑)。正しいけど、でも、法律的には何の問題もないんですよ、これ。(宣伝、販売する段階で、実績を誇張するとかね、そういう行き過ぎたセールスがあれば別ですが。)

もうひとつ、この手の金融派生商品というもの自体が、そもそもリスクを伴うものであること。投資会社がどんなに上手にマーケティングしても、(相当の)リスクがあることぐらい認識できる、そういう金融のプロに売ってるはずなんです。お互い、同じギョーカイの仲間で、ド素人を騙したわけじゃない・・・ってのも、あるでしょうね。

じゃ、誰がそ~いうのを買ったのか?

ええ、同業者とか、銀行とか、企業とか。保険会社とか、その他の金融機関とか。政府とか、地方自治体とか、年金トラストとか・・・でしょうね。

そう、実際には、「金融のプロが、リスクを承知した上で買ってるはず」とは言い切れない、ボーダーライン素人もいるんですね。地方自治体なんて、まさにその例じゃないかと思います。世界規模の話なので(トレーティングはオンラインだしね)、アメリカ国内ではなくて、たとえばインドとかスウェーデンとか、とんでもなく遠い場所に、買い手がいたりするわけです。

もちろん、日本にもいるでしょうね。たくさん。(欧米よりはずっと少ないと思うけど。)


●となると・・・

なんとなく、リーマン・ブラザーズが破産して、世界中が金融不安に陥った理由が、わかって来るのではないでしょうか。

実際には、わたしがここで書いた取引よりもずっと、ずっと複雑な、関係者ももっとずっと多いのが現実。証券は転売されるので、ホント、今どこにあるかわからないですね。でも、会社をいくつ経由しようと、世界中のどこに取引相手がいようと、債権のもとをず~っと辿っていくと、最終的にはアメリカのどこかの、小さなマイホームに行き着くはずなんです。

それが、さぶぷらいむ問題の正体。

・・・正体見たり、枯れ尾花?


●わたしに関係あるの?

日本の消費者に限って言えば、直接の影響を受けることはないような気がします。(これは、わたしの憶測にすぎないけど。)

でも、間接的にはどうでしょう?

今はやりのFOREXだの、アセット・マネジメントだの投資をしている人は、今起きているドル安、株安の影響を受けると思います。得をする人よりも、損をする人のほうが多いでしょうね。

もっと大きな問題は、リーマン破綻の余波で、今よりいっそうクレジット・クランチが酷くなることです。わかりやすく言えば、世界的な貸し渋り現象ですね。欧米ほどの被害はないと思うけど、日本の銀行でも、お金を今よりも借りにくくなるかもしれません。

むろん個人レベルじゃなくて、企業レベルでも。・・・となると、景気後退している今、資金繰りが苦しいのに、メイン・バンクがお金を貸してくれない、あるいは高い利子を取る、なんて現象が出てくるかも。健全なビジネスには問題なくても、それで、せっぱ詰まる企業もあるでしょう。

要するに、世界中で、誰もが自分の持ってるお金にしがみついて、なかなか遣おうとしない状態が起きる可能性があるんですね。というか、もうその現象は起きてるのかも。リーマンが破綻するより前から、すでに「貸し渋り」はあったんですものね。。。

人間としては自然なリアクションだけど、「日本経済」を大きく見たら、それは非常にヤバい事態です。だって、モノやサービスが(日本でも、海外でも)売れなくなったり、会社が行き詰ったり、失業者が増えたりするかもしれないから。

以上、さぶぷらいむ物語(完結編?)でした。





書きたいことの、ほんの一部しか書けていませんが・・・(苦笑)。

なお、リーマン・ブラザーズの急展開にばかりスポットライトが当たっていますが、実を言うと、メリル・リンチが身売りしちゃったのも、それこそ金融界を揺るがすほどの激震です。だって、ほんの半年前まで5社あったウォール街の投資銀行のうち、これで3社が消えちゃったんですよ。

最初がベア・スターンズ。それからリーマン。同時にメリル。あと残るのは、ゴールドマン・サックスとモーガン・スタンレーだけです。・・・し、信じられない。

そればかりか、他にも不穏なニュースが流れてきていますね。それの先行き次第では、金融不安はまだまだ続くかもしれません。AさんやBさんの小さなマイホームの夢と、それをビジネス・チャンスに変えた賢いはずのウォール街の魔法使い。

それがこんな結果を産むなんて、誰も思ってもみなかっただろうなあ。。。


●最後に(笑)

タイトルは、「平家物語」の出だしから引用しました。かの有名な、アレです。

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず ただ春の世の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ

・・・合掌。

【16/09/2008 07:11】 社会・時事ニュース | Comments (0)
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プロフィール

藤乃めい

Author:藤乃めい
ロンドン在住の自称☆ヘタレ甘々ほもえろ字書き(兼エッセイ&レビュー書き)。別名=ましゅまろんどん。

2008年秋より、出向で六本木に島流し中。

純愛☆官能大河ドラマ『春を抱いていた』をこよなく、果てしなく愛してます(笑)。岩城さん至上主義。寝ても醒めても岩城京介氏のことしか考えられず、日常生活に支障が出ることもしばしば(爆)。・・・いや、マジで。

常に人生破綻の危機に怯えつつ、今日も愛の溢れる純文学☆ほもえろ道の探求に精進してます(笑)。

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